
ぺろり
「S or M」と性質(性癖)が極端に分けられるように、「相手が求めているものに応じてあげる」「受け入れてもらうことで興奮する」という2つの役割が、セックスの中で明確に線引きされてしまっているところも多いのではないでしょうか。
桐谷ヨウさん著『仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵に上がれてないんだ、私は。』(ワニブックス)の中には、こんなことが書かれていました。
「セックス中の女性のサービス精神は裏目に出ている可能性が高い」
「男性は恥じらいを維持しながらもアグレッシブにセックスをしてほしいという意味不明なことを女性に求めているのだ」
この文脈に、男性にとっての理想と実際のセックスの間にある溝は案外深いような気がして、いろいろと考えさせられてしまったのであります。
男性から「たまにはそっちも主導権とってよ(ついでに淑女感もお願いね)」といった難題を突き付けられてしまったら、そりゃぁもう、頭ポリポリ掻いて終わってしまうわな……。動く比率が多いか否かの一点で「主導権」という言葉が使われているパターンも多いでしょうし。
行きずりの人とのワンナイトラブでも、好きな人とのセックスでも、「相手に良く見られたい」と演者に徹する女性が作り上げる“セックスの空気感”というものは絶対にあるのに、配慮して振る舞っている繊細な演出は、やはり男性にはあまり伝わっていないのかな。お互いが同じ熱量でセックスを求め合うことができたら、「主導権」なんて考えることもなく心から楽しめるのだろうけど、それほど相性の良い人と出逢えること、そして、その2人が求め合うタイミングが合うことなど奇跡なのかもしれません。
男性からガンガン突かれているにも関わらず、相手の乳首を触っている自分に気付いた瞬間、なんて冷静な行為をしているのかなぁと思うことがあります。そのまま男性に身をゆだねていればいいのに、余計なことをしなくてもいいのに、それでもつい手が動いてしまっている。「実はそこまであなた色に染まっていないし、あなたを気持ちよくさせる術だって本能的に知ってますよ」という奥底に秘めた逆襲心がずるずると露わになっているのを見てしまったような……なんて強気なんだろうか。