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ハムスター食い北川景子の「汚さ」こそが魅力である理由

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 非常に品のある落ちついた日常報告の文体は読んでいて好感が持てますし、新しいCMが公開されるたびに書かれる文章も的確に新商品の特徴を捉えています。例えば昨年12月8日に公開された記事では、化粧品、腕時計、デジタルカメラについて言及されているのですが、女優を辞めて広告屋さんになったほうが良いのでは、と思うほどの名文を連発しています。

 「え、文章上手すぎない……?」、「本当に本人が書いているのか?」と疑いたくなるのは致し方なし(ちなみに現在のブログは2013年にリニューアルした公式サイトと同時に開始されていますが、それ以前に公開されていたブログの文章は、いまよりもやや隙のある感じでした)。しかし、仮にゴーストライターやマネジャーが北川景子ブログを更新していたとしても、それが彼女の「表の顔の美しさ」のブラッシュ・アップに貢献していることは間違いありません。知的なイメージ作りには、このブログは効果絶大です。

 なお、この本人/ゴースト問題については、なかなか判断の難しいものがあります。趣味の宝塚観劇について綴っているときのテンションの高さは「本人が書いてそうだなあ……!」というリアリティを感じさせますし、前述のスポンサーをめちゃくちゃに意識しているであろう新商品情報はゴーストっぽい。北川さんのブログは、常にガチなのか、ガチじゃないのかの判断を迫られる、という意味で、最もスリリングな芸能人ブログと言えるかもしれません。

 言うなれば、そのスリルは北川さんの「表の顔」と「裏の顔」の絶妙なバランス感覚にも通じています。清潔感のある美人で適度にズボラで隙を感じさせつつ、ドスケベな噂に事欠かない女優。どうです、完璧ではないですか。彼女が一切隙のないお嬢様女優だったとしたら、果たしてここまで人気が出たでしょうか。上品そうに見せかけながら、下品な要素も小出しにしていく、作為かどうかはわかりませんが、その舵取りが巧みなのだと思います。

 食べ方が異常に汚くても、ヘビースモーカー疑惑が根強くても、共演者を食いまくっても、映画にドラマにCMに彼女が起用され続けている理由は、その危ういバランスが我々を惹きつけるからなのかもしれません。実際、本当にゴシップ誌に書かれるようなとんでもない性悪女だったら、とっくに仕事なんて成り立たなくなっていますからね。私は食事マナーの雑な北川景子さんが好きです! でも、北川景子じゃなかったら、ハムスター食い女はぶん殴りたくなります。

■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra