カップルの大きな誤解を生む”未完了の感情”
次に未完了の感情の説明をします。私たちはお母さんのお腹の中にいる時の意識から、今までの意識を潜在意識や無意識の領域で全て覚えています。
未完了の感情とは、過去に心が傷付いた経験があり、(例:親が離婚した、いきなり父と離ればなれになった、両親が妹だけを可愛がった等)その感情をスッキリさせることなく抑圧していると、再び過去の感情が似たような感情として出てきます。
ただし、カップルの間で未完了の感情が出てきた時は、過去の感情が出てきているとは気付かず、全て相手のせいにし、自分がここまで傷付くのは、相手が理解せず、思いやってくれないからだなどと思ってしまいます。
それがカップルの大きな誤解を生むのです。未完了の感情が癒されていれば、依存心やニーズはあまり出てきません。だから今、涙活などという言葉が出てきているのでしょう。
切り離し・投影・自立
次に切り離しです。これは先ほどお伝えした未完了の感情などの、ネガティブな感情を感じることが怖くて、感情から距離を置き、切り離すことです。人と距離を置く場合も、切り離しの感情が働いている場合があります。
次に投影です。自分の嫌いな部分を他者に見い出し、その人に対してイライラしたり、嫌ったりします。(例:誰かに依存していた頃の自分が嫌いで、そんな自分が許せなかったりすると、依存している女性を見ると無性にイライラする等)この投影はカップルの間でもよく起こりがちです。
次に自立です。実は、心理的に自立は良い心の状態とは言えません。
心理的な人間関係の理想は相互扶助なので、自立していると相互に助け合ったり、依存している人のニーズに優しくできなくなります。自立している人は、依存心が生まれている時に思いきり傷付いて、その傷付いた心を抑圧し、もうあんな風には傷付きたくないと自立していくことが多いのです。ですから、一見自立してバリバリ仕事している男性が、恋愛関係になると束縛したり、自分にかまって欲しいなどと豹変する場合は、過去に抑圧した依存心が自立の下に隠れていて、恋愛関係で心を開き、依存心が出てくることも多いのです。自立している状態ではネガティブな感情を押し殺しているので、溢れてくる感情を抑えるのにパワーを使ってしまい、人といると疲れてしまいます。それが溜まりすぎると“燃えつき”になります。
人と人との間に絆ができている良好な関係とは男女の関係だけでなく、仕事場においても、「相互扶助=パートナーシップ」なのですが、上記の感情が邪魔をしてなかなかそこにたどり着けません。特に男女関係では未完了な感情が出やすいので、パートナーシップの段階までたどり着くのは難しいのですが、セックスにおいても不可欠な要素ですよね。次回は事例を紹介しながらセックスレスの原因と解決策を探っていきたいと思います。
■荻原かおる/http://healing49.com/
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