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子宮摘出手術の直前、子宮内膜症やチョコレート嚢胞を放置するリスクをあらためて考えた

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 ひととおり医師からの説明が終わり、「何かご不明な点は」と聞かれてまっさきに夢子が質問したのは以下だった。

「手術後、下腹部がぼこっと出ると聞いたのですが、本当でしょうか?」
「んー、確かにそういう人も中にはいますかねぇ」

 夢子は目の前が真っ暗になった。やっぱりお腹の手術後は、腹が出るのか。夢子は手術後、運動しても食事制限しても、永久にお腹が元に戻らないのではないかと心配している。急き込んでまた質問した。

「時間が経てば、もとに戻るのでしょうか?」
「戻るんじゃないですかねぇ? 術後の検診でずっとお腹が戻らないと訴えてくる人もいないので」

 医師の返答からは(えーっとそれはボクの管轄外なのでちょっと……)という空気がにじみ出ている。

 女性科で手術しても、お腹が出っ張ったままなら別の科に行くしかないということなんだな。夢子よ、これが日本の縦割り制度というものだ。とりあえず、手術後は自力で運動や食事管理をがんばるしかないようだ。

心の準備ができないよ…

 家に戻って考えると、手術そのものよりも本日告げられた「しもが裂ける」そして「腹のたるみは戻ると医師が明言しなかった」という事態のほうが、夢子には恐ろしく思えた。

 受ける予定の内視鏡手術は、どんな器具を使うのか、体のどこを切るのか、手持ちの本やネットに載っている写真や図で見ることができる。イメージできるものに対してはさほど恐怖を抱かない。

 だがしもと形容される部位、そいつがどこなのかわからない。イメージできないのでは、心の準備のしようがない。さらに戻るかも戻らないかわからない、医師ですらよく把握していないという腹の肥大問題。どういう運動をすればおなかは凹んでくれるのだろう? 術後の回復が自分ひとりの手探りになるのも心許ない。

 姿の見えるモンスターより、ぼんやりと実体がつかめない幽霊のほうが怖い。夢子の恐怖と不安は説明を経ていや増すばかりだった。

摘出を控えた子宮にちんぽを届けたくて突っ走ってきた女性が、ついに実感できた愛の画像2

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』