日本では下火になりつつあると囁かれているK-POP。しかし、12人組の男性アイドルグループ・EXOがCDセールス100万枚を達成するなど、韓国ではバブルな話題が尽きない。ちなみに、EXOは2011年にデビューした新人グループで、BAP、B1A4(ビーワンエーフォー)、女性6人組のAPINK(エーピンク)、など、最近になって知名度があがってきたグループと同期。わずかデビュー2年目にして、業界で下剋上を果たしたわけだが、今年以降もしばらく独壇場が続きそうだと言われている。
今年もしくは来年あたりには、東方神起やBIG BANGのメンバーが徴兵間近という噂がある。一方では、K-POPグループ界屈指の芸能事務所、SMエンターテインメント、JYPエンターテインメント、YGエンターテインメントの御三家芸能事務所が、揃って大型新人をデビューさせるとも言われており、K-POP界の勢力図にも徐々に変化が起こりそうな気配だ。
ところで、2000年代以降にK-POPが流行り出してからというもの、韓国では新人アイドルが次々と登場。日本で紹介されたり活動を行うのはそのうちの、ほんの一部にすぎないとされている。
気になったので調べてみたところ、昨年1年間にメディアで新人として取り上げられたK-POPグループ数は、なんと80組。トップの写真で紹介したAlphaBAT、Royal Pirates、LADIES’ CODE、Wa$$up、DEMION……などなどなどなど。すでに顔や名前を一致させるのは至難のわざで、グループ名の読み方すら定かではないものさえある。ただ、メディアに名が挙がる彼らは、まだ恵まれているそう。彼らの後ろには、デビューすらできない候補生が山のようにいると言われている。
芸能人候補生の生活は厳しい。売れるまではほとんど給料がでないというのは当たり前で、所属事務所によってはレッスンや活動資金を自費でかぶらなければならない場合が大半だ。2013年末には、歌手や女優の卵が売春で一気に摘発される事件が世間を賑わせたことは、以前、当連載でも紹介した。これは氷山の一角に過ぎないと言われており、反対に経済力のある女性(=ヌナスポンサー)に囲われる新人男性芸能人も少なくないとされている。
そんな事件が毎日のようにメディアをにぎわせても、韓国では練習生やオーディション番組の数が年々増えている。明日のK-POPスターを目指す若者たちが後を絶たない。そればかりか、最近では小学生や中学生の『なりたい職業』アンケートでも、芸能人は見事1位に輝いたそうだ。
芸能界で成功したいと願う韓国の若者が急増している背景のひとつには、韓国社会の厳しい現実がある。今年1月に韓国メディア「wikitree」が伝えたところによると、社会人として働くことができない20代の若者の割合が、韓国歴代最悪の38.3%まで膨れ上がっているそうだ。この数字は単純な失業率ではないものの、約10人に4人が働き口に困っている計算になる。
華やかで自由、そして何よりもバブリーなイメージが強い韓国芸能界ーー競争の厳しい韓国社会で、多くの若者が“夢”に感化されてしまうのも無理ないのかもしれない。
※画像2:ガーリーなイメージってK-POPでは新鮮。「APINK」公式HPより
※画像3:打って変わってハード路線!「Wa$$up」公式HPより
■河 鐘基/エンターテイメントから政治まで、韓国の社会問題を広範囲に取材。雑誌やウェブ媒体を中心にライター活動を展開中。K-POPも好きだがAKB48の方が好きという、韓流ライターにあるまじき趣味を持つ。さらに正直に言えば、ローラの方が好き。