あけましておめでとうございます。謎物件、通称〈トンデモ〉を追う当連載を、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
年末には東洋経済の記事で、当サイトmessyがまさかの〈トンデモサイト〉呼ばわりされた出来事がありましたが、女性目線で性を語ることのどこがどうトンデモなのか? と不思議でなりません。トンデモとは荒唐無稽なお説のことであり、過激なものを指す言葉ではなかったはず。
育児関連のおかしな情報についてあれこれ語り合った新春覆面座談会には、〈これぞ本当のトンデモ〉と呼べる物件が続出ですから、東洋経済の言葉遣いに疑問を感じた方は、ぜひお口直しにお付き合いくださいませ。楽しい覆面持参で新春座談会に参加してくださったのは、
・小児科医ママである森戸やすみ先生 @jasminjoy
さくらが丘小児科クリニック勤務
・かるがもクリニック院長の宮原篤先生 @atsushimiyahara
・さまざまな育児本を手掛ける、ママ編集者Oさん
以上の面々と、山田ノジルの4名でお送りします。と言いつつ、会場への到着時間タイムラグにより、発言者の登場にムラがありますことをお許しください。
ワクチンから子供を守る?
山田ノジル(以下、ノ):インフルエンザワクチンが不足! という騒ぎに我が家もバッチリ遭遇しましたが、何とかうちの子どもは12月に無事2回目を打つことができたので、ひと安心です。そんな中、お馴染みのトンデモ医・近藤誠氏が『ワクチン副作用の恐怖』(文藝春秋)なんて本を出しましたから、本当にため息しかでません。帯にこう書いてあるんです。「わが子と高齢者を守る」って。ところが中を読むと、「高齢者は、いつかは亡くなる運命にありますが、インフルエンザにともなう肺炎や肺炎球菌肺炎は、相当ラクに死ねるので、ある意味、理想的です」と書いてある。全く守る気がなくてびっくり(笑)。
森戸やすみ先生(以下、森):ええええ(笑)。
ノ:あとがきにあるこの文も、すごいインパクトです。「専門家が保身のため、ワクチンの副作用を否定してしまうのは、現に後遺症で苦しんでいる、あるいは亡くなられて人たちを、子らを冒涜する行為です」。近藤医師って、女優の川島なお美さんが亡くなったとき、〈死んだ患者には守秘義務がない〉とマスコミにネタを売りましたよね。そんな人がよく冒涜という言葉を使ったもんだなと。
森:お母さんたちがワクチンについて勉強をしようと思ってAmazonを検索すると、このようなアンチワクチンの本ばっかり出てくるんですよ。いや、ほとんど出てこないと言ってもいい。
ノ:正しいワクチンの知識、なんて本は……、うーん、確かにあまり売れなそうではありますが。
森:世の中に正しいワクチンの知識を紹介した本はもちろん存在するんですが、Amazonだと〈オススメ〉にも上がってこない。当たり前すぎるんですよね。ワクチンについては母子手帳にも書いてあるし、無料でもらえるパンフレットもあります。それを見てくれればいいのに、〈本を買って勉強しよう〉となると、変なものにたどり着いてしまう。

「へんなもの」の代表! Amazon
ノ:2つの相反する説を目の前に出されると、素人は本当に困ってしまいます。
森:しかも2つの見方があると、まるでそれがフィフティ・フィフティ、つまり互角に見えてしまうのが問題です。本当は99.5%以上の医師がごく普通のことをいっていて、残りの0.5%未満の医師がおかしなことを言っている。全然互角じゃないんです。
ノ:〈因果関係は証明されていないけど、実際こんな出来事が起こっているのだから、ないとは言えない〉と言われてしまうと、それが少数派の意見でも不安になるお母さんが多そうですね。