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根拠なきスマホ育児叩き、「自分の思い通りの子に育てる」思想が蔓延。育児系トンデモを医師たちが追及する【新春座談会!Part2】

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森:一応、海外では論文があります。高校生には「見るな」というと逆効果だとか、小さいうちは親と一緒に見ると教育的効果があるとか。スマホを見せることで単語数が増えたなど、やりかたによっては日本でも研究もできると思う。でも今の反対派はきっと、そんな研究をする気はないでしょう。

宮:知り合いのお子さんが小学生なんですけど、スマホをいじっていたら架空請求されそうになりました。何いじってたんだよ~と言っても、かたくなに「ちゃんとしたサイト!」としか言わなかったそうで。

ノ&森:カワイイ(笑)。

宮:それも、ある意味教育ですよね(笑)。今回は、ちゃんと親に言ってくれたからよかったかなと。そのまま黙って銀行行って貯金崩してお金降ろして振り込んで……なんてならなくてよかったです。

森:困ってお父さんの財布からお金抜く、とかにもならなくてよかった(笑)。そういった「架空請求されないためには」とか「スマホ依存症にならないには」とか「個人情報の漏出をしないためにはこう使おう」とかだったら分かるんですよ。それだったら、ポスターにする意味がある。

ノ:犬にかまれるから犬触るな、じゃなくて触り方を教えてほしいですよね。

森:不登校になるから、学校行くなとかね。

スマホに関して、教えるべきこと

ノ:先日、早朝にやっているニュース番組でも「スマホ育児」という特集をやっていましたが、特集のオチは〈見すぎると近視になるから親が時間をコントロールしようね!〉ってだけ。

森:結局、それしか言えないんですよ。

ノ:近視なら、テレビもゲームも本も、なんだってそうじゃないかという。

森:使い方ですよね。座間9人遺体殺人事件だってSNSがあったから発覚したわけじゃないですか。そっちを言わずに〈Twitterを介して犯人と被害者が知り合った〉という点ばかり強調してTwitterが叩かれる。電話で連絡を取りあってたら、電話を規制するのかしら。

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座談会風景。こう見えても、医師のみなさんと山田ノジルです。

宮:自分たちの知らないものを規制したがるというのはありますよね。そのひとつのエポックが、1989年に発覚した宮崎勤事件。こんな事件が起こったのは、アニメが悪いという。でも彼の趣味が切手だったら?

森:これからシリアルキラーになろうという人は、自宅の壁全面に文春の記事を貼ればいい、なんてコメントもありましたよ(笑)。

ノ:スマホ育児反対派の〈母親は楽するな!〉という風潮は、無痛分娩の事故報道でも同じものを感じましたね。某匿名掲示板では、無痛分娩事故を引き合いに「自分は普通分娩で真面目に産んだから、母子ともに健康でよかった」なんてコメントを書いていた人もいました。

トンデモを言うのは、かっこ悪い!?

森:真面目と事故、まったく関係ない。真面目だから普通分娩できるとは限りませんし。

ノ:痛みを感じてこそお産! 楽しようとするから罰があたった、みたいなしょうもない意見も続いていましたね。

森:〈医学的根拠のない迷信を言うことがかっこ悪い〉という風潮になりませんかねえ。私は完全母乳栄養で育てたから格上! とか、不妊治療して授からないのはあなたの何かが悪いから! とかもありますよね。

ノ:添加物を食べているから! とか、冷える服装をしているから! とかお約束すぎて、もう聞き飽きてしまった(笑)。やはり心配事に〈原因〉を求める人は多いですか?

森:いますよ。「子供の言葉が遅いのは、私がいけないんでしょうか」とか。そんなわけありません。原因がわからないことってたくさんあるんです。何かを改善したらすべてがよくなるなんてものはないのですが、でもそれを信じてしまう。世の中には〈若い母親には何を言ってもいい〉と思っている人がいるみたいで、本当に腹立たしいんですよ。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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