
(C)緑丘まこ
女だってオナニーはする。
messyの連載でも、わたしが初めてオナニーしたのは5歳の頃だと言ってきた。オナニーはセックスよりも長い付き合いである。
今ではスマホなどで簡単にオナニーのおかずが手に入るが、中学生の頃は携帯を持っていなかったので大変苦労したものである。
そんな時代のわたしのオナニーライフには、エロ本が欠かせなかった。
書店のエロ漫画を目に焼け付けた小学生時代
幼少期のオナニーは、今でも印象に残っている。
父が定期的に買っていた週刊誌にわずか2、3ページ掲載されているエッチなコーナーをこっそりこたつの中で読んでいた。それをおかずにこたつの脚で“角オナ”していたのだが、よく母に見つかっては叱られていた。コソコソしていたつもりでもバレバレだったのである。暑くて暗いこたつの中は、オナニーするにあたって最良の場所とは言えないが、5歳のわたしにとってこたつは最高な秘密基地であった。
オナニーライフは、小学生に上がってからも続行していた。
小学三年生の頃、放課後に親友のアイコ(仮名)と遊んでいた。
「ねぇ、マコ、わたしすごいもの発見しちゃった」
キラキラした目でアイコが言った。
アイコに手をひかれ、連れていかれたのは駅前の小さな書店だった。番台には無愛想な中年女性がいた。
そしてその番台の目の前にあった漫画をアイコが手にとって得意げに見せてきた。
「ほら、すごいでしょ」
アイコは漫画をペラペラめくりながら小声で言った。
漫画のタイトルは覚えてないが、そこに描かれていたのは男女の濃厚で刺激的なセックスシーンだった。
イケメンが美女のまんこを舐めたり触ったり、そして激しく挿入しているのだ。
エッチな漫画は当時の私には刺激的だった。
「わ、わーすごいね」
アイコと興奮気味に漫画のページをペラペラめくりながら、エッチなシーンを目にしっかり焼き付けた。 そして家に帰ってから、エッチな漫画のシーンを思い出しオナニーした。今思うと書店員にバレバレだっただろうに、よく注意されずに済んだものだ。
エッチな漫画の描写を忘れかけた頃、またアイコと書店に行き、エッチな漫画を目に焼き付けて帰ってオナニーする。まるでサンマを焼く匂いをおかずに白飯を食べるような不憫すぎるオナニーであるが、仕方ない。アナログな時代だったのだから。
当時、アイコは街中で髪が乱れた女性を見ると「ラブホテル帰りかなぁ」と言っていたが、そういえば書店で見たエッチな漫画に登場する女性の髪も乱れていたなぁ。知らず知らずのうちにエロ漫画でわたしたちは色々なことを学んでいたのである。
私のバイブルだった「エルティーン」「パステルティーン」

(C)緑丘まこ
中学生になってから少しだけオナニー事情は進化した。
エロ本という“バイブル”を手に入れるようになったからである。
エロ本といっても、10代の女子向けのもので、エッチな体験談や漫画が載っただけの雑誌だったが。最近はめっきり見かけなくなったが、わたしが中学生だった頃は存在していた。
「エルティーン」「パステルティーン」という雑誌をご存知だろうか?
この二冊は、わたしのオナニーライフに欠かせないバイブルだったが、共に十年以上前に廃刊になったらしい。デジタルが主流になったからだろうか。
現在、オナニーのおかずは右手でスマホをいじればすぐに見つかる。
ちなみに最近のわたしのおかず事情だが、もっぱらDMMさんにお世話になっている。特別気に入ったAV女優がいれば購入するし、サンプル動画だけでも満足にイケる時もある。
中学生だった頃は、オナ二ーのおかずを手に入れるためには書店に行って直接購入しなければならなかった、と思えば、今は便利な世の中になったものだ。
「パステルティーン」と「エルティーン」を買う時、親友のヤハギちゃん(仮名)をよく道連れにした。ヤハギちゃんは買うのをためらい恥ずかしがるわたしに
「別に恥ずかしくもなんともないで。雑誌代くれたら、うちが代わりに買って来たげるわ!」
といさぎよく言い放ち、「パステルティーン」と「エルティーン」を手にとりレジに向かってくれたこともあった。そのお礼は30円ジュースだったっけ。
サバサバした超美女なヤハギちゃん、あの時は大変お世話になりました。
照れくさくて「ちょっと勉強のために」と言い張ったけど、ごめん、ヤハギちゃんに買いに行かせた「パステルティーン」も「エルティーン」もオナニーのおかずのためです!
いまだにヤハギちゃんに会うとたまに言われる。
「あんたにはようエロ本買いにパシらされたわな」
その度、赤面してしまう。
廃刊してしまった雑誌だが、本当に素晴らしかった。 18禁じゃないのに生々しくセックスしている写真が載っていたし、何より自分と同年代くらいの女子が寄せた読者体験が最高にエロくて濡れた。当時処女だったわたしには刺激が強すぎて最高に興奮した。バリバリヤりまくってる今でもきっとそれなりに興奮するだろう。それくらい“エロイイ”雑誌だった。
当時、金銭的に余裕があったわけではないので毎月買う余裕はなかったが、数カ月に一冊ずつ買ってはお世話になった。
中学生の頃はエロ漫画にもよくお世話になった。内容は過激なエロ話でも、表紙が可愛い純粋な少女漫画を彷彿させる絵柄だと買いやすかった。表紙にしっかり「過激なH特集」みたいなキャッチフレーズが載っているので、それなりに買う時ドキドキしたが……。
アナログ主流の時代でも、アナログの世界の良さがある。
後にも先にも「パステルティーン」と「エルティーン」ほど10代のまんこに響く雑誌はないと思う。同じ10代の女子が経験したエロ話をあんな生々しく読める雑誌はなかなかないだろう。
読み終わるとベッドの下に隠して、また読む時その都度取り出した。時々母が、わたしの部屋を勝手に掃除するため、ハラハラドキドキしたのを覚えている。それでもわたしは「パステルティーン」と「エルティーン」をどんどん溜めていき、手放さなかった。スマホですぐに見つかるエロ動画のような手軽さはないが、宝箱にしまった大事なお宝を取り出すような楽しみがあの頃はあったのだ。
オナニーのおかずを手に入れるのに苦労した時代。しかし、背景にはいつも、一緒に戦利品を手に入れるまでそばにいた親友がいて、輝かしい性春の思い出でもある。