連載

性の伝道師・アダム徳永の薄気味悪い女性観「手かざしで女性をイカせる」「身体が冷えている女性は感度が低い」

【この記事のキーワード】
性の伝道師・アダム徳永の薄気味悪い女性観「手かざしで女性をイカせる」「身体が冷えている女性は感度が低い」の画像1

手かざしで? Photo by David Goehring from Flickr

 アダム徳永という人物をご存知の人は、messyの読者でどのくらいいるでしょう。『実践イラスト版 スローセックス 完全マニュアル』(講談社)が大ベストセラーとなったのが、今から約10年前のこと。近年は男女ともいろんな人がセックスについて語り、そのノウハウを伝授しています。最近ではAV男優しみけんさんの『SHIMIKEN’s BEST SEX 最高のセックス集中講義』(イースト・プレス)あたりもヒットしていますね。

 当時はセックスを表立って語る人があまりいなかったこと、挿入と射精ばかりに重きをおいた男性本位のセックスを「ジャンクセックス」と呼び、長い時間をかけて愛し合う「スローセックス」を提唱したことから、アダム氏は主に男性週刊誌やスポーツ誌などに熱狂的に迎え入れられました。

 スローセックス、素敵な響きですよね。ただ時間的に長くゆったりとした、という意味だけでなく、「スローライフ」にも通じる、余裕や豊かさ、成熟がこの言葉から漂ってきます。

 男性が挿入し、射精するだけの身勝手なセックス、女性の身体的満足や精神的充足など気にもかけないセックスが、女性にどれほどの苦痛をもたらすか。乱暴なピストンは不要、もっと女性を感じさせるセックスを! というお説はごもっともでも、私は氏が独自に編み出したメソッドにも、全体に漂う氏の女性観にも何とも言えない拒否感が発動してしまい、「これは女性のためを思っている体(てい)で書かれているけど、実際はオッサンたちを喜ばせるための本でしかないな」と判断しました。

 今冬、氏の最新刊『男は女を知らない 新・スローセックス実践入門』(講談社)が発売されました。私がそれを手にとった理由は、SNSで『「スローセックス」から10年。アダム徳永がようやく見出した答え』という記事が流れてきたからです。記事中に「手をかざすだけで女性を感じさせることができます」「離れたところにいる女性を遠隔で官能させることができます」とあり、こりゃ本格的にヤバイ領域に逝かれたのだな! と感じました。まんまと好奇心を刺激されちゃったんですよね~。

「俺は女を知っている」と豪語

『~新・スローセックス実践入門』は予想を上回るトンデモ本でした。セックスにおいて新しいお説を披露しなければ、新しいメソッドを開発しなければというプレッシャーが強すぎたのでしょうか。

 世間やメディアからの「確実に女をイカせるテクニックを!」「まだ誰も知らない性の真実を!」というプレッシャーがいかに強いか、私も知らないわけではありません。でもセックスに関しては身体の基本を知り、お互いを尊重し、コミュニケーションを取りながら自分たちなりの方法論を見つけていくしかないのです。飛び道具的なテクニックや、「まだ誰も知らない秘密の快感スポットが!」なんて言い出すのは、大体が胡散臭いと見ていいです。

 それでいうと、アダム氏は”男性から放出される性エネルギーによって女性が快感を覚える”といった、超能力的な解釈ですべを解説しています。ひとたび自分がそれを放出すれば、電車で向かいの席に座っている女性の膝がパカッと開いて本人は閉じたいのに開きっぱなしになったり、満員電車で女性がお尻を自分の股間に密着させてきたり。こうした体験談を読みながら私は最初笑っていたのですが、次第にその妄念にうすら寒さを感じるようになりました。

 しかし、それ以上に薄気味悪いのが氏の女性観です。タイトルで「男性は女性のことを知らない」と謳われていますが、それは一般男性のお話。1000人以上の女性とセックスをした自分は女性のことを熟知している、ということを言いたいがために1冊が割かれていると言ってもいいでしょう。

 本文中にも「女性が●●であることを知っている男性はいないと断言できる(でも俺は知っている)」「女性の■■という真実にたどり着いた男性はいない(俺を除いて)」というフレーズが呆れるほど頻出します。念のためお断りしておくと、( )内は筆者がそうしたフレーズから感じ取った、氏の本音です。

 氏が知っている真実とは、「女性は愛されたい生命体」であるということ。誰に? もちろん、男性にです!

・女性は、まさに男性にとってかけがえのない『愛する対象』です。愛さずにはいられない貴重な存在です。
・男性からの愛が女性にとって最高の喜びなのです。男性の愛なくして女性の魂は輝きません。
・セックスを制する者は女性を制し、宇宙を制し、天運を制することができると私、アダム徳永は思います。

などというフレーズが全篇通して散見されます。〈男性のために存在する、女性〉〈男性に愛されて初めて輝ける、女性〉という氏の女性観に縁取られた文章を読むうちに、女性である私は自分という存在が下げられていくように感じました。

1 2

桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

@_momoco_

Facebook