どうも、コウです。すっかり寒くて脚の露出も憚られる今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
私は相変わらず、温かいフェティッシュバー店内では露出魔のごとくほぼ下着でウロウロしています。安全が確保されていて、露出を歓迎してくれるお店、サイコー。
さて、今回は珍しくインタビューをしてまいりました。ゲストは、去年末に『御守りの本』(ワールドフォトプレス)という本まで出版しちゃいました、全国津々浦々の御守りをコレクションしている“オマモニア”こと、ハヤシナオタケさんです。
実は、ここで連載を持つ前から面識のあった方で、本業はデザイナーさん。この「変態読本」のタイトル画を作ってくれたのも彼でございます。
え? 御守りと変態がどう関係あるかって?
いやーね、御守りや神社と・い・え・ば! 変態ネタの匂い、するでしょ~。変態ネタに特別な興味がなくても、奇祭や男根を祀っている神社の存在とかは誰でも聞きかじったことくらいあるのでは? それでいて、大体の場合いくらクレイジーなお祭や神事でも歴史があるわけで、クレイジーなことを継承したり守ったりするのって、なかなか変態的だと私は思うんですけど、いかがでしょうか。
ちなみに、実は私、中学生~高校生の頃、巫女のご奉仕(バイトって言っちゃいけないのよ)をしていたこともあり、神社仏閣や神事なんかの話には元々興味があり。故に「変態×御守り」なんて、結構な好物なんですよ。
ハヤシさんには、初めてお会いした時に“オマモニア”であることをお聞きして、速攻食いついてしまった私。ふと、「エロ系の御守りとかもあるんですか?」と聞いたことから、色々面白い話が出てくる出てくる……。ということで、ただただ私の酒のアテにするのも勿体ないので、改めて素面で取材して記事にすることに。
御守り基本情報
巫女(バイト)で一番初めに習ったのが、まず「御守り」は「物」ではないので、商品として「売り買いする」というような表現はNGだということ。ハヤシさんの本でも触れられていますが、「作る」という言い方も御守りの場合はしないのだとか。意外と無意識に言葉を選ばず発言してしまいがちですが、ここで初歩的な部分だけ少し解説します。
〈御守りの数え方〉1体、2体、3体…
〈御守りに関わる用語〉
・奉製する=「作る」に代わる用語
・授与する=「売る」に代わる用語
・拝受する=「買う」に代わる用語
・初穂料、お心付け=「価格」や「代金」に代わる用語
ひとまずこのくらい抑えていれば話を進めることはできそうですので、いよいよインタビュースタートといきましょう。
性に関する御守りとお祭
――まず私が気になるのは、性に関する御守りを授与しているところというか、性に関する神様を祀ってる神社って、日本にはどのくらいあるんですか?
ハヤシ 祀ってるだけだとそれなりに数はあるのですが、「奇祭」と呼ばれるような変なお祭をやっているところとか、御守りまであるところだと、パッと思いつくのは3社あります。
・金山神社(神奈川県)
・田縣[たがた]神社(愛知県)
・飛鳥坐[あすかにます]神社(奈良県)
まず日本の最大手として有名なのは、やっぱり「かなまら祭」が有名な金山神社ですね。チンコの神輿が練り歩くお祭。あそこは御守りも当然チンコを象ったものがありますし、近隣で売ってる非公式のかなまらグッズもすごい数で種類が豊富。チンコ飴とか。
――チンコ神輿も有名ですよね、私は神社の名前こそ憶えてなかったけど、「チンコ 祭」で画像検索したら真っ先に出てきますよね。
ハヤシ 特にピンクの「エリザベス(神輿の名前)」が有名ですね。女装クラブから寄贈されたもので、担ぎ手が女装子限定というのも特徴。かなまら祭はとにかくすごい人混みで、外国人観光客や女子大生ふうの若い女の子も大勢いる中で「チンコ飴、マンコ飴、いかがですか~?」なんて放送禁止用語が飛び交うものだから、最初は頭オカシイんじゃないかと思いました(笑)。
――その日だけは、そういうオカシイ・テンションなんでしょうね、みんな。さて、そんな金山神社の御守りは?
ハヤシ ここの御守りは色々な種類があるけれど、これなんかどう?
――可愛いー(笑)。私は連載でも「勃起ってもしかして可愛いかも」と書きましたし、何かこれには愛着がわきます。
ハヤシ あと、これは笑っちゃいますよね。
――これは……(笑)。なんかmessyではウケそうな見た目ですけど、これどういうことですか? この状態で神社に置かれてたんですか?
ハヤシ 驚くべきことに、これは公式(神社の授与所にあった)! チンコの御守りを抱くキティちゃん(笑)。キティちゃんと御守りは、取り外しができるようになってて、他の神社でも御守りを抱かせて授与してるところがあるので、“御守りを抱かせる用”のキティちゃんだとは思うんですけど、……ホントにサンリオ的にはOK出したの?って感じですよね(笑)。
――仕事を選ばないことで有名なキティちゃんですが、ここまでしていたとは。御見それしました。……にしても、この御守りのチンコの描写は、躍動感がありますね。
ハヤシ 金山神社のすごいところは、神社の横の誰も寄り付かないような地味なところに資料館を持っていて、そこに入ると暗い空間の中にひたすら男根が並んでいるんです。ちょっと秘宝館的な雰囲気も漂っています。すごい資料だと思う。本当に。それだけは、田縣神社も飛鳥坐神社もやってないんですよね。
――それは一度行ってみなくては。祭じゃない日に行ってみようかな。
金山がエンターテイメント系だとすると、上品系な田縣神社
――では、一大チンコ祭「かなまら祭」のお次は、田縣神社ですかね。どういったところなんですか?
ハヤシ 「かなまら祭」は神輿のクオリティとか、来てる人の雰囲気からしてもエンターテインメント系だと僕は思ってるんですけど、田縣神社は神輿の男根の形がものすごく綺麗なんです。しかも、無垢の木を使ってるから、田縣はお上品な印象を受けます。
他にも田縣の神輿が金山と違うのは、毎年新調してることと、あと“向き”。金山のチンコ神輿は金玉が一番下にあって、竿が上に向いていて鎮座してる感じなのに対して、田縣のは横向きに倒れているというか、竿が前にせり出している形。田縣には、その神輿が描かれた御朱印帳があって……(御朱印帳を取り出す)
――なかなかダイナミックなアングルですね。パース(遠近法)が効いてるのが良い! それにパッと見、亀頭が桃みたいですね。
ハヤシ なかなか普通の神社でこの御朱印帳は出しにくいですけどね(笑)。
――で、ここに描かれている神輿の実物が上品かつクオリティが高いんですね。
ハヤシ そうそう。それと、田縣神社は近くに「大縣[おおあがた]神社」もあって、そこは「姫宮」という女の神様を祀ってて、女性器に似た形の石が置いてあったりするから、よく対みたいに言われたりもしています。大縣神社の御守りや御朱印帳は、女性器の絵など描いてなくて普通ですけど。
――では田縣神社の御守りでハヤシさんの推しはどれですか?
ハヤシ これは女子には特にウケそうかな、と思います。こういう生々しくない、普通に可愛くて、けどちょっとエロ要素ある御守りを作ってるところも、金山にはない上品さを感じますね。
――確かにこれなら、持ちやすいけど、ちょっとした話題性はあって、ほど良い感じですね。
飛鳥坐神社は御守りが渋い!
――さて、三大チン社、最後は飛鳥坐神社ですか。ここも奇祭あり?
ハヤシ ここは「おんだ祭」っていう祭が奇祭として有名。僕もまだ行ったことはないけれど、祭ではお多福と天狗のセックス劇が披露されているらしい。
――セックス劇……面白いのかな、気になります。とりあえず調べてみよう(レポート記事はwebで複数発見、拝読しました。ご興味ある方は調べてみてください)。
ハヤシ それで、ここはお多福と天狗がシンボルだから、御守りもこんな感じ。
――これは渋い! 色合いといい構図といい、センスいいですね。2色展開なのも素敵です。
ハヤシ お多福の表情も何とも言えない感じで良いですよね。
――それにしても、こういう御守りを奉製する工程って、どんな感じなんでしょうね?
ハヤシ 宮司さんが「もう少し亀頭大きくしてください」とか言うのかね(笑)。
――リアリティの追求もそうですけど、神社側の「ここまでならOK」みたいなラインとかもあるでしょうからね。男根でいえば、竿の長さと亀頭の大きさと、みたいなバランスは結構大事ですよね。私だったら「もっと竿に反りを」とか言いそう(笑)。
ハヤシ 反り(笑)。確かに反りが強いほうが凛々しいデザインにはなりますね。
……ということで、次回、まだまだ続くハヤシ氏との会談は「女性器にまつわる御守りや神社って?」「まるでSMの聖地!? しばられ地蔵」などの話題へ。お楽しみに!(連続物をやるとテレビアニメの最後みたいなセリフが言える、嬉しい!)
※紹介している御守りは、現在取り扱いのないものもございます