
イラスト/大和彩
前回はちょっと歩けば激しい痛みに襲われ、横になっても眠れない子宮摘出手術後の様子をお伝えしたな。退院から6カ月経ったある清々しい秋晴れの日、下の毛を剃る夢子がいた。この半年、夢子は体づくりに邁進してきた。
手術前に夢子が仕入れていた予備知識を覚えているか? ほとんどの女性は、子宮摘出後1年の間に体重が25ポンド(11kgちょっと)増加する、というものだ。それだけは避けなくてはならない、そう決めていた夢子は、手術後の痛みが引くと早々に週6回ジムに通い始めた。
始めたころは腰も腹も痛く、運動に必要な動きすらおぼつかなかったが、最近ではかなりスムーズに動けるようになっている。トレーニングのおかげで体重は20ポンドほど減った。
手術の痕跡を、探してみる。
剃毛具合を鏡に映して確認した時、ふと思い出した。「しも」は結局、どこだったのだろう?
医師は3針縫ったと言っていた。手術後、膣口周辺を子細に観察するのはあえて避けてきた。手術の記憶がまだ生々しく、触れるのが怖かったのだ。今日なら大丈夫だろうと思った。
窓から柔らかい午後の光がさしこむ部屋で、夢子は鏡の前で足を広げ該当エリアをとくと見てみた。目をこらして、皮膚もあちこち引っぱって探したが縫い跡らしいものはなかった。
夢子はきつねにつままれたような表情だ。「しも」は、膣の中という意味だったのかもしれない。
ちんぽジャストミート計画、再び
今日は大切な日だ。手術後初めて、俺と夢子は異性とのランデブーに出かける。しかし私情や痴情は一切、絡んでいない。俺たちにとってこれは大事なビジネス・アポイントメント、本日「子宮とちんぽをジャストミート計画」の手術“後”を検証するのだ。
手術前から我々が取り組んできた「子宮とちんぽをジャストミート計画」の手術前の様子は、あんたにも語ったよな。そう、俺たちのPDCAサイクルは、まだ回転中なんだ。
そもそも計画(Plan)は、
・男性女性双方の視点から、子宮摘出手術前と後とで性的興奮に違いがあるか検証する
・手術前にセックスする。男性に感覚を覚えていてもらう。自分もどう感じたか覚えておく
・術後、再度同じ男性とセックスする。男性に子宮がなくなったけど感じは変わったかを聞き、自分の体感も違うかを検証する
手術前のPlanはDoneだ。今日は手術後のPlanをDoする。