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子宮摘出手術後、初の性交へ、いざ。性感や女性性は変化するのか?

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 子宮摘出をすると「もう自分は女性じゃない気がする」とか「性欲がぱったりなくなった」などと証言する女性もいることを俺たちは知っていた。そのような精神的変化が起こるのか--子宮摘出後の半年間、我々は興味深く観察してきた。

 手術前から、夢子はさほど性欲というものを感じたことはなかった。これは術後も相変わらずである。ジャストミート計画という目的がなければ、手術後も異性と性交しようという発想はなかったと思われる。つまり、性欲面での変化はない。

 自身の女性性に関してはどうだろうか。女性という気がしなくなるってどういう感じだろう? アンドロジナス(男女両性の特徴をもつ)な存在として新しく生まれ変わるのだろうか、と夢子は少し楽しみにしていたが、こちらにも特に変化はなかった。一人称の「わたし」に違和感を覚えることもない。スカートも履ける。書類の性別欄では女性に丸を付けてなんの精神的葛藤も起きない。つまり、女性性での変化もない。

術後、自分に自信がついてきた

  子宮摘出手術で夢子に精神的な変化は起きなかった。多分、女性ホルモンと卵巣に変わりないからだ。何かがなくなった、という意識にならないのだ。自分の何かが欠損したという気持ちが一切ない。

 むしろ、手術してからは、子供さえ産めるような気がし始めている。もちろん子宮がなければ妊娠は不可能なのは理解している。これは気持ちの問題だ。

 手術前は体調が悪すぎて妊娠も赤子のお世話もとんでもない、自分には絶対無理、という後ろ向きな気持ちだった。けれど子宮摘出とジム通いで筋力やスタミナがついてくるに連れ、気持ちが前向きになってきた。もしマリア様的な奇跡の力で受胎することがあれば、出産にも取り組めるという自信が芽生えた。

 そういう意味では、気持ちの面で変化した部分はあったんだな。精神面での変化がそんな感じならば、肉体的な面はどうだろうか。それを検証するため、これからちょっとセックスしてくる。そもそも手術前にどこぞの男たちと肌を合わせたのも、これを検証して他の女性に伝えたかったからだ。

 肉体面の変化は、筋力の増加や体重の減少とともに、夢子は別の手応えをすでに得ていた。退院後の女性科での内診検査とエコー挿入の時だ。いつもなら「ぎゃっ!」と身をよじるような痛みがあるのに、その時はなかった。あまりにもあっけなかったため、本当に検査がなされたのか確信が持てなかったほどだ。

 これまでは絶えず出血していた俺・子宮がいなくなったおかげで、腹の中の炎症が収まり、多少の検査ならノープロブレムにまで回復しているのかもしれない。

手術痕に気づかない王子とのメイクラブ

 しかし、これはあくまでも医療機関での専門スタッフによる検査だ。性生活において耐えうるまんこになっているのか!? それを検証するため、手術前にも手合わせいただいた「王子」の美麗なちんぽを拝借することにした。夢子と俺と王子はラブホテルのドアをくぐった。

  自分の体感は変わるか、男性の満足度に変化はあるか? 結果からいうと、手術前よりも我々は質の高いメイクラブを楽しめた。

 まず、行為前の出血を配慮する必要がなくなったのは大きい。これまではコンスタントに出血があり貧血からくる冷えもひどく、常に下着にライナーとホッカイロを貼っていたのだが、今日はつけずに済んだ。今までは下着を脱ぐまえに、隠れてべりべりとホッカイロやライナーを剥がすという作業が発生していた。けっこうタイミングに気を遣うし、煩わしかったのだ。

 今回はその必要がない。また、手術後は大きな痛みが発生しなくなったため、鎮痛剤も使っていない。以前は必ず行っていた、家を出る前の座薬挿入の儀も行わなくてよかった。これらひとつひとつは小さいが、全部合わせると大きな解放感をもたらしてくれた。

 王子には入院と手術をしたとだけ伝えた。王子は「ふ~んそうなんですか?」と言っただけで、あまり深く考えていないようだった。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』