みなさんがいまご覧になっている「messy」は2013年5月にオープンし、私こと桃子は同年6月に「独り寝のお作法」と題して連載をスタートいたしました。そのときには5年近くも書き続けることになるとは露ほども思っていませんでした。途中からはタイトルと内容がどんどんズレていき、ずいぶん好き勝手なことを書き散らかしてもきました。
私は、messyという媒体が好きです。どこが? それはそのタイトルが示すとおり「散らかった」「ごちゃごちゃした」空気感があるからです。
webにかぎらず女性向け媒体はゾーニングがはっきりしているのが特徴のひとつです。こういう属性の女性が読む、というのがカラーとしてはっきり打ち出されています。「ひとり暮らしのアラサーOL」が対象ならファッション・コスメ以外にも婚活や転職について特集されていたり、「セレブな既婚・子あり女性」が対象なら、ホームパーティに幼稚園行事にお受験に……とそれぞれの文化があり、自分が読んでいる媒体以外の“文化”と接するとカルチャーショックもしばしば。
それでいうと、messyはまさになんでもありでカラーを見極めにくい媒体でありました。AVレビューが毎日のように更新されているかと思えば、女性が日本社会で生きていくことに関わる硬派な記事や、ジェンダーについての議論もあり。いってみればカオスです……が、ひとりの女性の興味関心ごとってそうじゃありません?
エロも社会問題も興味あり
エロへの関心が高い人が、政治や身の回りの社会問題、ジェンダーに対してまったく無関心だということはありません。もしそう思っているのだとしたら、それはただの偏見。そして、日ごろ社会問題に対して広くアンテナを張っている人が、実はエロいことも知りたい、むしろそれで頭がいっぱいになる夜もある! というのは、ぜんぜんありえることです。ひとりの女性のなかに、硬軟ともの関心事があるのはとても自然なこと。当然、芸能人へのミーハーな関心もある!
だからこそ私は、それを体現しているかのようなmessyという場を居心地よく感じていました。
私はバイブコレクターという看板を掲げて活動していて、世間的には“エロ業界の人”と見られます。これには一片の反論もありませんが、エロの人にはエロの内容しか書くチャンスがないのが現実です。昨今はちょ~っとだけ風通しがよくなってきた感もありますが、きっちり線引きされることがほとんどです。
以前は、エロい女性というのは男性のために存在するものでした。男性を欲情させるのが第一の使命。社会やジェンダーなんかについて話されたら、勃つものも勃たない。だから、エロい女性にはエロい言動だけが求められる……となったのだと私は思っています。女性の主体的なエロも、女性の共感を得るエロも男性向けの媒体にはほぼ存在しなかったし、多くの女性向けの媒体にはエロ自体がタブー視されていました。
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