インタビュー

「結婚をしつこく迫る」はアリ! オトナ婚活で見つけた究極の法則を伝授

【この記事のキーワード】
衿野未矢

衿野未矢さん、婚活の秘訣、教えてください!

【前編はこちらからどうぞ】

 婚活で悩んでいる女子、多すぎ問題! かくいう私も、かつて婚活に疲れ果てた経験があります。そして友人から届く婚活鬱LINE。結婚したいってだけで、なんでこんなに苦労しなきゃいけないの? それ以前に、婚活すればほんとうに誰かと出会えるのかどうかもわからない……。

 そんな義憤に駆られた私が会いに行ったのは、『“48歳、彼氏ナシ” 私でも嫁に行けた! オトナ婚をつかみとる50の法則』で自身の婚活体験を赤裸々に披露し、そこから得たものを50の法則として私たちに教えてくれる衿野未矢(えりの・みや)さん。前編では、自分を守り、傷つかないようにしながら行動する秘訣をうかがいました。さすが人生のパイセン、世代を問わずにすぐに実施できる法則ばかりです。

 婚活開始からしばらくして、衿野さんは旧知の“館長(新潟県魚沼市で文化会館の館長をつとめる現・夫)”と交際スタート。付き合いはじめたはいいけど、彼に結婚の意志はなし……。世の中にも、それでズルズルと付き合いだけが長くなるカップルの多いこと多いこと。そこで《法則30 家には泊めない》のようにケジメを守ったり、《法則39 「おはよう」と「おやすみ」のメールを欠かさない》のように相手の生活に入り込むような作戦をとるのは理解できるのですが、とても意外に感じた法則がひとつありました。

――《法則36 しつこく結婚を迫る》って、これ本当に大丈夫ですか? 下手すると男性がドン引きして、事故りそうな気がしますが……。

衿野未矢さん(以下、衿)「うん、私も当初はすごく迷いましたね。でも、彼と結婚する・しないで私の人生が大きく変わるのはわかっていたから、もう必死ですよ。そんなにガミガミ言ったわけでもないんですが、口にするときはすごく強い思いを込めてたから、『ふ~、きょうは言ってやったゼ!』って感じで、いちいち達成感に酔っていました(笑)。それで『次にまた合えるのが楽しみだね』ってメールが来ると、あぁ彼は引いてないなってひと安心……でも、そこから先には進展しない」

――ほんっと男って、女の覚悟のひと言をそこまで深く受け止めてくれないですよね!

「恋愛や結婚にかぎらずですが、男と女のあいだには必ず温度差がありますから」

――結婚したいという意志を、ことばにせずに感じ取ってもらうのは……?

「ありえない(笑)」

――そんな~~。

「でもね、結婚したいんだったら、自分から早めに訊くのがいちばん効率的。その気がないならさっさと断ってもらわないと、次にいけませんから。もちろんショックだけど、『この人は私という人間を拒絶したのではなく、いま結婚する気がないんだ』ってだけのこと」

――ここでも前編で教えていただいた「傷つかないスキル」が活きるわけですね。そうやってしつこく迫れたのも、館長が、衿野さんの求める究極の条件“幸せな家庭を一緒に築ける”に応えてくれる男性だという確信があったからだと思います。でも、条件を絞るって、かなりの勇気が必要ですよね。

「条件っていくらあげてもキリがないし、それをぜんぶクリアした男じゃないとダメって思っている人は、それによって自分を守っているんじゃないかな。出会えないのは私が悪いからではなく、私の理想が高すぎるからよ、って」

――気持ちはわからなくもないけど、そうしているうちは確かに結婚相手は見つけられなさそう……。

「そう考えると、自然と究極の条件に絞れてくるんですよ。価値観が合う、生き方に関する姿勢が合うってこと。でもそこには、家事の分担をどう考えているのかとか、どこに住みたいとか……いろんなものが含まれるんですけどね」

――そこがぴったり合う人を見つけたら、たしかにしつこく迫りたくなるのかも。

「館長の場合、迫ってもきっぱりNOとはいわなかったので、どうして彼があんまり結婚をしたくないのか考えました。思い至ったのは、結婚に対してネガティブなイメージがあって、自由を奪われると考えているんじゃないかということ。これ、若い世代にも多いでしょ。なまじ嫁や彼女ができちゃうと時間を取られるし……って男性はネガティブになりがち。だから、『結婚すると自由は多少失われるかもしれないけど、人脈は2倍になるからきっと楽しいよ!』というのが私の口説き文句でした」

――実際に結婚された後はいかがですか? 結婚に対する考え方は変わりましたか?

「こんなに面白いものだとは思わなかった! 口説き文句がリアルに実現しちゃって、あちこち連れ回されるし、『こんな男と結婚したのは、どんな女性だ?』っていろんな人が会いにくるしで、もう大変ですが、ほんとうに2倍楽しくなりました

――わ〜お、私がこれまで聞いたなかで、最もハッピーでポジティブな結婚観です!

とにかくポジティブ!

とにかくポジティブ!

「結婚前は、館長に対して不満に思っていたこともありました。たとえば、外食となるとお寿司屋さんばっかりとか、私の歩くスピードにまったく合わせる気がなく、ひとりでさっさと行っちゃうとか……。それも結婚後ははっきり伝えるようになりました。すべて完璧に整ってから結婚する、って考えると、自分が気詰まりになっちゃう。まぁ、いまだに『たまにはビストロに行きたい』っていっても、『ビストロって何だ?』って返ってくるんですけどね(笑)」

――うかがっていると私も結婚願望を刺激されます。願望があるなら、「結婚したい」っていうのは、周囲に公言していったほうがいいのでしょうか?

「あんまり言ってまわると、自分のなかでも軽くなっていくから、人に言う必要はないですね。心のなかで噛み締めるようにして、自分に言い聞かせる。さらに、お友だちから幸せな結婚の話を聞いたり、結婚のお祝いの席にまめに足を運んだりすると、いい感じにモチベーションが上がります」

――それも婚活鬱にならないための対策のひとつですね。

「実際、私や館長の周りでも、そんな人がいるんですよ。『私、結婚はもういい』って言っていた人が、『やっぱりしたい!』に変わった。彼女は、私の披露宴でお礼の気持ちをこめてお配りした干支の根付をお守りにしていたんですけど、なんとほんとうに恋愛相手とめぐりあって、結婚を意識するようになりました」

 独身同士で集まって、「いい人がいない~」とグチり合ってるだけって、まったく生産的ではない。結婚したいなら、自分からハッピーに近づいていけ! 衿野さんの言葉から、そんな力強いメッセージを感じました。

 著書を読めば読むほど、そしてこうして直接お話を聞けば聞くほど、婚活は恋愛経験だけじゃなく、仕事での経験値や人生観など、すべてが反映される総力戦というイメージができてきました。だからこそ、全部むき出しのうえで体当たりし、玉砕してしまってはダメージが大きすぎる……。自分を守りながら、条件を精査し、ときにはしつこく迫るだけの行動力も発揮……いずれは結婚をと考える女子諸君。衿野さんのように賢く、たくましく、でも朗らかに、楽しみながら婚活に励もうじゃありませんか!

(文=三浦ゆえ)

 

■2016年9月17日、衿野未矢さんがご逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。

三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue