とある飲みの席でのことでした。
「まんこって恥ずかしいじゃないですか」と言った男の人がいたので、
「わたしは何も恥だと思っていませんよ」とキッパリ申したところ、
その場にいた女性に「いじわるな発言ね」と制されました。
なぜいじわる……!?
その場は女4人、男2人と女性のほうが多かったにも関わらず、誰もわたしの味方にならず、わたしは空気が読めない変な女として存在を黙殺されました。
こういう目にはよく遭います。
男に対等に意見を述べるとケンカとみなされ、女のわたしが悪いことになり、
周りの女はそれを助けるどころか責める側にまわるシーン。
「男側に付いたほうが得」ってやつです。
悲しいです。
わたしは自分の活動を通して、日本の女が男から物扱いされるのは、まんこのまん権がないことに全て結びつくのを知りました。
だから、女がもっと生きやすくなるようまん権向上を目指しているのに、わたし以外誰もそんな未来を望んではいないのです。
この辛さを誰かに愚痴りたくても、まんこアートをやっているのはわたしひとりだけなので、
仲間や同僚、先輩後輩も、味方は誰もいません。
究極のひとりぼっち……
生きづらいわたしに、フェミニストの北原みのりさんが言いました。
「なし子さん、海外に難民申請したら?」
みのりさんにはいつもの冗談でも、わたしははっとしてしまいました。
改めて「難民」の意味を辞書で調べたところ、
1.天災・戦禍などによって生活が困窮し、住んでいた土地を離れ安全な場所に逃れてきた人々。
2.人種・宗教・政治的意見などを理由に迫害を受ける恐れがあるために国を出た人。亡命者。→流民。(以下略)」(三省堂『大辞林』より)
……2がまさにわたしの状況そのもの!(まだ国は出てませんけど)
わたしは日本でもうまんこ難民キャンプ状態だったのです!
ならば日本以外の国に亡命することは十分可能。
そうなんです。こんなに生きづらい、居場所のない国に無理して留まらなくても、わたしを救ってくれる国に行けばいいのです。
「難民申請しよう!」と決めたら途端に未来が明るくなりました。
そもそも女性の地位が低く、金持ちは年寄だけで若者は貧しく、何があっても自己責任とされ、ストレスを抱えた人は在日外国人など弱者にぶつけ、助け合いを忘れた国。震災であれだけダメージを受けたのに、原発再稼働を視野に入れるなどと宣言する狂った首相。
今の日本は北朝鮮に次いで危険な国です。
むしろ早く脱しなくては。
みのりさんと、「なし子さんが難民として海外に亡命できたら遊びに行くね~!」
「ぜひぜひ~!」などと話していたら、なんだかいい旅夢気分。
どの国に難民申請しようかな♪
まんこに偏見のなさそうな、性に理解のある国といえば、
やはりオランダです。
オランダでは同性婚、大麻、尊厳死、セックスワーカーの全てが合法、というのは知っていましたが、お互い同意のある12歳以上でのセックスと、16歳以上であればポルノ出演可能であることまでが法律で認められているということも最近知りました。
教育学者の橋本紀子氏によれば、オランダでは家族計画の考え方を社会的に広め、安全な性と健康を守るための手段として避妊法を合法化。その上で中絶の合法化を行う、という流れがしっかりしているそうです。「家族計画」が「健康を守る」ものだという認識が国民に根付いているのです。
このため、オランダでは小学校5年生から性教育がなされる学校もあるそうです。
その内容は、具体的なセックスの方法や避妊、自慰行為について学ぶほか、デートの仕方や生涯のパートナーの選び方、そして離婚までと、かなり具体的です。
小学校によっては、高学年のクラスでバナナにコンドームを被せる実習もさせるとか。
(橋本紀子著『こんなに違う!世界の性教育』メディアファクトリー刊より)
このような性教育を受けた子供たちは一体どんなセックスマシーンに!? と心配する人もいるでしょうが、2010年度の「15~19歳の少女1千人当たりの出産数」によればアメリカ36人、イギリス24人に対して、オランダは4人。日本5人です。
さらに2010年度の「15~19歳の少女1千人当たりの人工妊娠中絶」は、アメリカ24.0人、日本が12.1人に対し、オランダは8.6人。
なんと10代少女の出産中絶率は、性に閉鎖的な日本より性にオープンなオランダのほうが低いのです。
(国連人口基金(UNFPA)『世界人口白書2010』より)
これは小学生が具体的な性教育を受けることは、全く問題ないどころか、むしろ真面目に計画的にセックスできる大人になれることを示していると言えるでしょう。
子供を守るために性を遠ざけてしまっては逆効果なのです。
(次ページへ続く)
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