
Photo by Nick Ares from Flickr
“紀州のドン・ファン”こと和歌山県田辺市の実業家・野崎幸助氏(享年77)が5月24日に変死した事件が、騒がれ続けている。遺体からは致死量の覚せい剤が検出されており、殺人事件の疑いがあるためだ。発売中の「フライデー」(講談社)では、新妻のSさん(22)が「私は警察に疑われている」と告白している。
野崎氏とSさんは昨年出会い、今年2月8日に入籍。野崎氏は著書『紀州のドン・ファン 野望篇 私が「生涯現役」でいられる理由』(講談社)で、Sさんとの出会いを「昨年秋に羽田空港で転んだ私を優しく助けてくれた」と記しているが、Sさんの説明では「昨年末」に「友人から『おカネ持ちを紹介してくれる人がいる』と」紹介されて出会い、「会ったその日にプロポーズされ、100万円わたされました」。野崎氏は「結婚したら毎月100万円わたす」と言って結婚を申し込み、Sさんは「美味しい話だな」と思って結婚した、と話している。「月100万円をお得だと思っていたのだから、私が(殺しを)やるわけないですよ」とも。
様々な報道で、Sさんについて「喪主なのに、葬儀の際にスマホばかりいじっていた」「夫が死んだというのに全然悲しそうじゃない」と、さも異常であるかのような声が出ているが、このような経緯で結婚したのであれば、夫への愛情があるわけでもなく、これといって悲しみもわかないだろう。金をくれる男とセックスはしても、金をくれる男に惚れることはない。
野崎氏は“紀州のドン・ファン”と呼ばれ(著書のタイトルもそう)ているが、しかしスペインの伝説のモテ男“ドン・ファン”(ドン・ジョヴァンニ)は、2000人あまりの女性たちに金を渡してセックスしていたのだろうか。むしろ金を貢がれるほど惚れられるのが“ドン・ファン”ではないか。とはいえ“ドン・ファン”は最後、地獄に落とされるのだが。
野崎氏の自著をひもとくと、とにかく若くて自分好み(長身巨乳色白もち肌)の女性とのセックスに執念を燃やしている。相手の女性の人格がどうであっても関係がなさそうだ。1日3回セックスをして、コンコンと湧き出るウスケボー(愛液)を舐めすするのが健康長寿の秘訣だと嘯いているが、その行為は女性にとっては売春と同じだったのではないだろうか。あるいは、野崎氏自身、買春の自覚を持って女性たちとセックスしていたのか。だとしたら、いくら「4000人の美女を抱いた」と豪語していても、虚しかったのではないかと思う。
ありあまる財力で、とっかえひっかえ美女を“抱く”、というか、股を開いてウスケボーを舐めることは可能だっただろう。にもかかわらず、3度の結婚を求めた野崎氏。自著には詳しい心理描写はなく、結婚の動機として「やはり妻という名の恋人を求める欲求を抑えることはできませんでした」とだけある。妻という名の恋人――しかしSさんは、野崎氏を夫という名の恋人だと認識していたかどうか。
金で買ったも同然の相手に、愛されようという方が無理な話かもしれない。そう考えると、幸福そうに見えた野崎氏の新婚生活が、ひたすら孤独なものに思えてくる。ただ、野崎氏自身、Sさんそのものを愛していたわけではないのだろうから、仕方のないことだ。肉体は買えても、人間そのものを買うことはできない。
(hin-nu)