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こいつとはどうしてもヤレない…と思った30代後半ナダル似の男性に喝

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18禁出会い系実況

18禁出会い系実況!

 こんにちは! 白雪魔夢子です。

 暑いですね~。私はこの夏、アイス星人と化しています。朝にあずきバーを1本。昼にガリガリ君を一本。夜、お風呂上りに牛乳バーを一本。こうしてみると、私は元来、長細い棒をペロペロ舐めるのが好きなようです。

 さて、アイスをなめているのも楽しいですが、やっぱ週に1度は肉棒を舐めとかないとね~。というわけで、アイスを片手にハッピーメール内を徘徊していました。

『ドラマチックな出会いを求めて、入会してみました……が、何回かやりとりしたメールの内容と、実際に会った時のテンションが全然違う子、マジで勘弁してください。楽しく会話するのは社会人の基本でしょ! ちょっとイメージと違うかな~と思っても、そこは大人の対応をしてください』

 彼の名はT氏。プロフィール写真を見ると、フルポン村上似のぱっちりした目元の男性がぼんやりと映っていました。わざとピントを合わせていないのか、あるいは画像加工アプリで写真をぼやけさせているのでしょう。

 ぼやけていても、ひげの剃り跡がめちゃくちゃ濃いのは分かりましたが、それ以外は普通。ブサイクな感じもしないし、身長も『180184㎝』と高いようなので、出会い系の中では雰囲気イケメンの部類なのではないかと思いました。

 それなのに、いざ出会うと女の子が沈黙してしまうって……一体、どういう理由があるの?  ふしぎに思った白雪は彼にメールをしてみることにしたのです。

『イメージが違う』どころじゃなくね?

 「涼しい個室でアイスでも食べながら映画を見れたらいいな」と暗にホテルで会いましょう、ということを匂わすと、T氏から「いいですね!」とメッセージが返ってきました。

 その後もメールのラリーを続け、彼のハマっていることは『洗顔』(最近、泡立てネットを買ったらしい)、週に一度辛いラーメンを食べに行くことなどという情報を得ることができました。

 ここまで地雷臭はゼロ。メール上の彼は非常に紳士的で、快活で明るそうな雰囲気です。

 トントン拍子に話は盛り上がり、彼のお気に入りのラーメン店で食事をしたあと、ホテルでまったり飲もうということになりました。その頃には彼のプロフィール文のことなど、すっかり白雪は忘れていたのです……。

 待ち合わせ当日。駅で待ち合わせをした白雪は、正面入り口の前で待っていました。今宵の衣装は、紺色のノースリーブワンピース+紺色のレースのロングカーデ。T氏の好みの女性が『おしとやかな雰囲気』というので、それに合わせてみました。T氏は『スポーティな服が好き』って言ってたけど、今日はどんな服を着てくるのかなー?

 そんなことを思っていると『今、改札出たよ!』とT氏。お、ついにご対面ね~!! ……ん?

 振り返った白雪の頭に『?』が浮かびました。

 頭皮の薄い、目元だけがいやにキリッとしたナダル似のおじさんがにこにこしながら、こちらに歩いてくるのです。

(誰、あれ?)

 一瞬、誰かと間違われているのかと思い、その場であたりを見回しているうちにナダルおじさんは目の前にきました。

「魔夢子ちゃん、おまたせです」

 え。え。ティ……T氏……?

 わたし、絶句……。そりゃあね、出会い系サイトに使う写真は、ちょっと盛っているのが普通、ということは知っています。現に白雪が使っている写真だって去年のモノですから。だけど、10年以上前の写真を使うのはNGじゃない……?

白雪「あ、あの。写真と全然……違うね?」
T氏「サイトはじめたばかりの頃は自分の写真使ってたんだけど、全然釣れないから、妹の旦那の写真使ってるんだ」

 オオオオ、オイ!!!(エガちゃん風・第2弾)

 お前じゃないんかい!! てか、せめて肉親の写真を使えよ‼ 妹の旦那ってまるっきり別人じゃねーか!!

 あまりのショックで、黙り込む白雪。すると、T氏は急に眉根を寄せ、あからさまに不機嫌な顔をしてきました。

T氏「あーあ、またそういう反応する? あんなに楽しそうにメールしてたのに、いきなりこれかよ」

 は!!!??

白雪「……私が別人の写真使って、50代のおばさんが来てもT氏は平気なの?」

 白雪がいら立ちを押し殺して、にっこりと微笑むと、ナダルおじさんは一点の曇りもない目でわたしを見つめ返してきました。

T氏「俺は全然平気だよ。だって、大事なのは中身じゃん。人の本質は中身でしょ? だから、俺はネットで出会いを求めているんだよ。外見じゃなく、中身を見てほしいから」

 き、きれいに正論っぽく言ってんじゃね~~!!!

 お前の中身って、『30代後半にもなって、洗顔する大切さがわかった』ってことと、『辛いラーメンが好きで、食べた後にう〇こをすると肛門がひりひりする』ってことくらいじゃねーか。そんなサガミのコンドームくらいの薄さの内容で、お前の中身に惚れて会いに来る女がどこにいるんだよ!!

 写真を見て、ちょっといいなとお互いに思って、そのうえで世間話をちらっとして、じゃあ、いよいよ対面してお互いのことを知ろうか、っていう流れだろ、普通!!

 それにお前、『人は見た目じゃない』って言ったよな?? だったら、同じように『人を見た目で選ばない』女性を探すのが普通だろ。なにちゃっかり他人の写真使って、その工程を省略してるんだよ!! 腹立つ~~!!

 もはや、辛いラーメンを食べる以前に、腹の中が活火山状態の白雪。

 しかし、大人なので、頭の中で思うだけでずっと無言を貫いていました。

 すると、T氏はハアッとため息をつき、「顔で男を選んでるから、30過ぎても出会い系なんてやってるんだよ」と言ってきやがったのです。

 巨大なブーメランって気づけ~~~~~!!!!!!!

 

今回の教訓『さすがにセックスできないヤツもいる』

 もし、彼がすごく謙虚な姿勢で、もじもじしながら現れて「ごめんね……。あれ、ぼくの写真じゃないんだ」と言ったならば、もしくは、会う直前にでもメールで謝ってもらえたならば、ホテルに行ったかもしれません。しかし、T氏とはいけなかった。

 『人を見た目で判断しちゃいけない』という言葉がありますが、それを鬼の首を取ったように振り回すのはどうかと思います。

 これからも被害を出さないためにも、T氏には一刻も早く退会してほしいです!!

白雪魔夢子

大学卒業後、プロニートとして活動。毎日15時間オンラインゲームをして、ギルドマスターまで上り詰める。しかし、三十路を過ぎ、ふと「私。もしかしてやばい奴なんじゃ?」と思い直す。その後、奮起し、出会い系サイトに登録。『どうしてそうなった』という忠告はおやめください。