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恋愛にも就職にも有利。整形「男子」急増中の韓国で人気のお直し箇所は?

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Photo by Shawn Perez from Flickr

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 韓国では、大学進学を控えた高校生たちの間で整形がブームになる。

 大学時代は小中高時代とは異なり、新しい人間関係が増える。田舎を離れソウルに出てくる学生たちも少なくない。苛烈な学歴社会で知られる韓国だが、進学を機にそれまでの受験地獄と環境がガラッと変わるため、韓国の若者が一斉に盛り始める時期でもある。そのため、顔や容姿を整え、華々しく大学デビューを飾りたいと考える若者たちが、整形外科に殺到するのだ。

 もともと、韓国女子の整形好きは有名だ。これはいまさら確認する必要がないほど、世界的常識になっている。しかし最近、韓国のメディアを賑わせているのは、若い男子の“美”に対する関心。韓国男子が肌や歯並びを気にし、整形手術すらいとわなくなってきたというニュースが、あちらこちらから聞こえてくる。

 韓国では、美に興味が高い男子のことを“グル-ミン族”と呼ぶらしい。「グル-ミン=Grooming」は、「身だしなみ」や「服装」、動物の「毛づくろい」を意味する語だが、韓国ではおしゃれ男子を指す言葉として定着し始めている。

 ちなみに、男子の若者の整形需要が圧倒的に多い場所は、“”だと言われている。

 男子の整形に数多く携わる「ジュエリー整形外科」の統計によると、その数、全患者の約80%。眉間から鼻までのラインは男性の印象を大きく左右するようで、患者たちはみな長く伸びた外人のような鼻を望むらしい。もし、韓国男子と仲良くなりたい方がいたら、あまり鼻の話題には触れないほうがいい。悪気なく自尊心を傷つけてしまう可能性もなきにしもあらずだ。

 そんな鼻整形ブームに、整形医たちも少し困った様子。「鼻は高くすればいいというものでもない」「下手するとすごくバランスの悪い顔になる」など、整形医たちによって書きこまれた注意書きを、ウェブ上のいたるところで目にする。

 次いで、韓国男子の整形で人気なのは“”だ。韓国人男性は一重がコンプレックスになっているらしく、二重への整形手術はやはり需要が多いらしい。

「整形する若者が増えている理由は、いろいろあると思う。純粋にモテたいと思っている子も多いよ。ただ、外見が変わると自信が出るし、恋愛以外の人間関係も確かに変わる。コンプレックスを持っているより自信満々なほうが、周囲からは印象がいいからね。企業での面接だってそうだ。みんな建前はあると思うけど、ブサイクよりカッコイイほうがいいに決まっている。実際、最近は就職するために整形するって子も多いみたいだよ」

 とある知人の韓国人男性カメラマンに事情を聞いてみたところ、そのようなコメントが返ってきた。そのカメラマンも、周囲からはグル-ミン族と呼ばれているのだろうか。整形はしていないが、いつも俳優のようにメイクをして出社している。日本にいるといろいろと詮索されそうだが、不思議なことに韓国では彼の化粧にツッコミをいれる人は皆無だ。

「ミョンドン(明洞)あたりでは、カップルで整形に来ている日本人観光客もよく見かけるよ。整形が自慢……っていうのもおかしいけど、男性の美に対する感覚は、日本より韓国のほうが高いんじゃないかな?」

 整形に走る韓国男子を、韓国の女性たちはどう見ているのだろうか。今回、女性に意見を聞くことは叶わなかったが、機会があればぜひ聞いてみたい。ともあれ、今後も韓国では男子の整形がますます増えていくことだけは間違いなさそうだ。

 

■河 鐘基/エンターテイメントから政治まで、韓国の社会問題を広範囲に取材。雑誌やウェブ媒体を中心にライター活動を展開中。K-POPも好きだがAKB48の方が好きという、韓流ライターにあるまじき趣味を持つ。さらに正直に言えば、ローラのほうが好き。

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河鐘基

エンターテイメントから政治まで、韓国の社会問題を広範囲に取材。雑誌やウェブ媒体を中心にライター活動を展開中。K-POPも好きだがAKB48の方が好きという、韓流ライターにあるまじき趣味を持つ。さらに正直に言えば、ローラのほうが好き。