年齢を偽ったから天罰が下ったのかも。
そんな話を前回しましたね?
その懺悔が天に響いたのか、いま、白雪はシティホテルの浴室ですっぱだかで毛を剃っています。
どういうことやねん!! というツッコミは、少々お待ちを……。
これには深いわけがあるのです……。
彼、T氏と出会ったのは一か月以上前。
きっかけはマッチングアプリでした。
その頃、白雪は、出会い系サイトの欲望まるだしの男たちにも飽きはじめ、マッチングアプリにいる「趣味はフットサルです!」みたいな爽やかボーイたちを暇つぶしに物色するのが趣味になっていました。
趣味なので、本気でマッチングする気などなし。
『東京』とか『大阪』とか『名古屋』とか適当に大きな街を指定して、『クリエイター』『身長180㎝以上』『次男』とか、とにかく白雪好みな男性をとことん絞って検索し、好みのイケメンを見つけたらいいねをしてました。
まあ、何100キロも家が遠い30過ぎのぽっちゃり女にそんなイケメンたちがいいねをしてくれるわけもなく、マッチングなんてすることないやろーと思っていたのです。
……が!!!!!!!
奇跡が起きたんですよ……。
それがT氏。
白雪のストライクゾーンど真ん中の長身クリエイターがマッチングしてくれたんです。
彼の職業はプロカメラマン。白雪の個性豊かなプロフィール(マッチングアプリのほうはエロさを消したの。イケメンたちが見ると思って)を褒めてくださり、「さすがライターさんは違うな~」なんて言ってくれました。
YES!! YES!! YES!!
その日の夜はスカイプで、フリーの辛さや楽しさをT氏が朗らかに語ってくれました。
「ほんと、フリーは辛いよねえ」と相槌を打つ白雪。月3万程度の収入で実家に寄生していることはもちろん秘密です。
T氏は大阪に住んでいるので、大阪のディープな飲み屋街の話もしてくれました。
「大阪に来るときは案内するよ!」と彼は言ってくれました。
リップサービスだとは思ったけれど、白雪はめっちゃ嬉しかった……。そしてその日から、夜はT氏とスカイプをすることが多くなりました。
大阪ラバーズ
週末は仕事とぶっこいて出会い系セックス三昧な生活をしていた白雪ですが、夜はちゃっかり彼とスカイプ。
T氏は読書家で漫画が大好きなので、話の随所に漫画のセリフやノリを入れてくれるからめっちゃ楽しいの!
LINEも毎日のようにしており、さらばじゃ、を「さらだじゃ」と言うのが2人の間の決まり文句になりました……。そんな寒いギャグさえ、いとおしかったの……。
そのうち、白雪はT氏に会いたいという気持ちが膨らんできました。
「明日か明後日、そっちに行っちゃおうかな~」
何気なくそう言った時でした。
「ほんとに来るなら飛行機予約とるよ」とT氏が言ったのです。
え……、マジ!?
白雪が「嬉しい」と言っている間にひょいひょいと予約を取り始めるT氏。
そして、ものの5分ほどで大阪行きの飛行機の券をT氏がとってしまったのです。
「改札口から出てすぐのところで待ってるから」
その言葉に白雪は「なんかドキドキするな~~」と照れ笑いをしました。
大阪行って、タコ焼き食って、T氏が一発やらせてくれたら感無量だ……、そう、甘い1日を過ごせればもうそれだけでええんや……。老後にひっそり思い出してほくそえめればそれでいいんや……。過度な期待はすまい。そんなことを考えながら眠りにつきました。