世の婚活男子たちは白雪魔夢子のコラムなぞ見ない。
そんなことは分かっているんだ!!
でも言いたいんだ!!
愚痴らせて!!
わたしね、最近、婚活アプリの『ペアーズ』に登録している男子たちの入っているコミュニティで1つ、許せないものがあるの。
「年上彼氏×年下彼女」とかいうコミュニティに入ってるヤツ!!
このクソコミュニティに74595人も入っているという事実!!
ねえ、ぞわぞわしない!? 分かってくれる人、いない!?
もちろん、それは白雪が高齢女性で、ちょっといいな☆と思った年下君のコミュニティを覗くと大抵このコミュニティに入っているから、という理由が主なわけですが、なんか男は一回りも二回りも年上でも年下女子と付き合える、的な風潮が許せないわけです。
だって、わたしが『年上彼女×年下彼氏』みたいなコミュニティに入っていたら、絶対男たちは引くでしょう!?
「こいつ、自分の立場わかってんのかな?」って鼻で笑うでしょ!?
なのに、なんで男だけが許されるのさ!!!!!!
そんな、ピーリングしたてのお肌のようにピリピリしている白雪のもとに、27歳の青年から『イイネ』が届きました。
髪を茶髪にして精いっぱいやんちゃっぽく見せようとしているけれど、顔は純朴でかわいい系。連続テレビ小説『べっぴんさん』(2017年NHK)の村田健太郎を演じた役者さん(古川雄輝くん)に似ています。
かわいいな~、いいね返しておこ~、と何の気なくいいねを返すと、彼から熱のこもったメッセージが届きました。
『魔夢子さんこんばんは!はじめまして!○○に住んでいるGといいます。魔夢子さんの優しそうなお姉さんオーラにやられてしまいました。よろしくお願いします!』
ほうほう。G君、君は年上好きなのかね。
にやにやしながら、彼のコミュニティを覗いたその時でした。
白雪の顔に緊張が走りました。
なんと、彼「年上彼氏×年下彼女」のコミュニティに入っていたのです。
年下男性なんて、年下男性なんて……
おいおいおいおいーーーー!!
年下好きじゃねえかよおおおお!!!
……でも待てよ?
これって、『ふだんは年下女性が好きだけど、わたしのプロフと写真にくぎ付けになって、年上の魅力に気づいちゃった』パターンってやつ!?
それなら悪い気はしないな……。
単純な白雪はそう思いなおし、G氏とメールを続行することを決めました。
G氏は長文メールを返してくれるので、メールのやり取りは楽しく、カラオケ好きという話題から、「じゃあ、今日カラオケいっちゃう~?」と話は進んでいったのです。
夜9時。我々は地元のカラオケ屋で歌を歌っていました。
G氏はパーカーにゆるめのジーンズといういで立ち。顔が童顔なので22歳くらいに見えました。歌う曲も、3代目Jソウルなんちゃらや米津玄師などの若者向けなので、白雪は「若い子とデートしているんだなあ……」と彼の横顔を見ながら思いました。
……ハッ。やばいやばい。これじゃ、「なにがなんでも年下とつきあってやるんじゃ~」って鼻息荒くしてる男たちとなにも変わらんじゃないか!!
G氏「魔夢子さん、曲入れた?」
白雪「あ、ごめん、まだ入れてない。カラオケ久しぶりだから歌う曲忘れちゃって……」
G氏「じゃあ、30分くらいまったり休憩タイムにしよっか」
白雪「そうしよ~」
そこから、婚活アプリで知り合った男女の9.9割がするであろう、『今までの恋愛』についての話になりました。そこで明らかになる衝撃の事実。なんと、G氏はつい最近の2月まで、10年間の片思いをしていたというのです。
G氏「17歳から、最近までね。俺、ずっと同じ子のこと好きだったんだ。その子とは2年くらい付き合って、ふられたんだけどね。それからも友達関係続けてて、そいつには彼氏が何度もできて、それでもずっと思い続けてた、みたいな。で、最近、俺このままずっと片思いしてたらやべえんじゃないの? って気づいて。それで」
白雪「それで?」
G氏「プロポーズしたんだよ。そしたらフラれた(笑)。で、このままじゃだめだと思って、彼女の連絡先消して、アプリ始めたんだ」
G氏曰く、空白の10年が無駄じゃなかったと思うためには、10年前では絶対に出会えなかった人と出会うことだと思い、10歳年下の女の子にガンガンいいねをしたのだそう(そのときに年下~のコミュにも入ったらしい)。
G氏「今度は後悔のない恋をしたいから、真面目に出会いを探してる」
OH……。見た目のとおりの純朴ボーイ。わたしにはもったいなさすぎる人だわ……。
だって、G氏がポジティブにいい話をしている横で、わたしってば『じゃあ、G氏のティンティン事情はどうだったんだろう?』というゲスイことばかり考えていたんですもの。
こりゃ、行きずりのセックスに気軽に誘えないわ……。
神聖なティンティンを汚したらあかんわな……。
G氏「あ、時間だ。そろそろ出ようか。送るよ」
はーい。
スケベなGPS
G氏の車に乗り込む前に、G氏が「コンビニで飲み物買ってきてもらっていい?」と言いながら、白雪に2000円を渡しました。
言われた通りにコンビニで飲み物を買って戻ると、「じゃあ、魔夢子ちゃんの家に送るね」と言いながら、G氏が運転を始めました。
『次の信号を右です』
『そのまま300m直進してください』
『次の信号を左です』
……ん?
なんか、家の方向とちょっと違くない?
どう考えても白雪の家に向かっていないGPS。
たまにあるよね、高速道路に乗せようとして遠回りするGPS。
G氏とのおしゃべりが楽しかったので、白雪がその疑問を黙っていると、車はどんどん暗い道へと入っていきました。
『目的地に到着しました』
……って、え!? ここ、ラブホじゃん!!
G氏「おかしいな、なんでこんなところに来たんだろ!?」
スケベなGPSだ、と言いながら、GPSを怒りつけるG氏。
G氏「こんなところに連れてくるなんて、俺たちをどうする気だよ!!」
その演技に、白雪は「あはははは」と笑ってしまいました。
どう考えてもGPS操作したの、G氏じゃん!! おっかしー!!
今回の感想『もれなく私も年下好きだった』
ラブホに入った後は、コンビニで買ってきた飲み物やお菓子を食べながらDVDを観ました。B級のホラー映画を見たのですが、G氏が手を握ってくれて、怖いシーンになるとぎゅ、ぎゅ、と手を握ってくるのが可愛かったです。
結局、映画を半分くらい見たあたりで我慢の限界を迎えた白雪が彼にキス。
10年も誰かに片思いしていたとは思えないほど、手慣れたキスに白雪の腰は砕けました。
ホラー映画の音が響く中、騎乗位で腰を振りつつ、G氏と見つめ合っていると、不思議な気持ちになりました。
自分より7つも下の男の子。わたしが大学生の頃、小学生だった男の子……。
た、たまんねえええええ!!!!!
パンパンパンパン!!!!!!!
こうして白雪は朝を迎えたときに思いました。
もう『年上彼氏×年下彼女』のコミュに入っている男たちを怒れないな……。わたしも年下の魅力にやられちまったよ……。