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LGBT弾圧を始めたウガンダに、ここ日本から「NO!」を突きつける人々

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「同性愛=異常行為」としたウガンダに、この声、届け!

 今年2月、アフリカのウガンダで同性愛行為を取り締まる法案ができたと、前編でご紹介しました。ロシアでも昨年6月に反同性愛法が施行され、世界のあちこちでLGBTが弾圧の危機に遭うのではないか……という危惧が生まれるなか、日本国内でウガンダ政府に対しての抗議アクションが行われました。

 3月5日午後。強い雨が降っているのに、東京・代官山のウガンダ大使館前には20人以上が集まっていました。セレブ住宅街にあるウガンダ大使館だけど、建物はかなりクラシックな印象……。そこはまあいいや。

 ウガンダ共和国はケニアとタンザニア、ルワンダとコンゴと南スーダンに囲まれた内陸国で、首都はカンパラ。イギリスの植民地を経て1963年に独立し、日本にはごまや魚介類などを輸出しているのだとか。ちなみに有名なタレントのウガンダ・トラさんはウガンダのイディ・アミン元大統領に似ていたからその芸名になっただけで、日本人なのでお間違えなく。

 集まった人たちは

Repeal the Anti-Gay Law!(反同性愛法を撤廃せよ)」
TOKYO Stands with LGBT Africans(東京はアフリカのLGBTと共に立つ)」

とプラカードを雨の中でも力強く提示。でも大使館はしーんとしていて、誰もいない様子……。

「ウガンダのLGBTを東京から支援していることを、世界の人たちに伝えることが目的なんです。そしてウガンダに対してなんの策も講じない、日本政府への抗議でもあります」

と語ったのは、「私はゲイ」と英語で書いたプラカードを掲げた30代男性。大使館員に直接抗議する以上に、動画や画像をネットで拡散して、反対の意思表示をしていることを世界に伝えるためのアクションだったとは!

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 程なくしてゲイをカミングアウトしている、豊島区議会の石川大我議員も合流。参加メンバーと「ウガンダ法体系のセクション145と反同性愛法はウガンダのLGBTの基本的人権を侵すものであり、私たちは国際社会の成員としてこれを看過することは到底できません。同法の即時撤回を促すよう強く求めます」などの文章を英語で記した、抗議文を提出しました。

 LGBT(レスビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの略)の人権問題について取り組みたいと、大学生の頃から考えていたという石川議員は、

「日本は思いやりや、おもてなしの国と言われているのに、一方で他人に対してとても無関心。10年前に性同一性障害者の性別特例法ができて以降は、LGBTへの理解も進んだけれど、それでもまだ『かわいそうな人たち』扱いなのが実情です。でもそんな日本でLGBTを支援している人たちがいることを知って、勇気づけられる人もいるのではないか」

と、アクション後に語ってくれました。

 もちろん彼らのような、当事者だけが参加したのではありません。

「新大久保の排外デモに対しては、日本人が反対の声をあげた。だから今回もLGBT当事者だけではなく、マジョリティ側の異性愛者も支援する必要があると思う」

と言ったのは、30代の在日コリアン男性。確かに誰かへの弾圧や差別を認める社会になってしまったら、マジョリティとて安心していられなくなりそう。だから、いま起きてることをスルーしない姿勢って、生きるためには必要なものなのかも。ということで抗議文がウガンダ大統領に、どうか届きますように!

(文=久保樹りん)