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韓国でもアイドルヲタの男子は多数棲息。誰のヲタがいちばんアツい?

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クレポ・オドックはサイリウム×ヘルメットが定番? YouTubeより

 韓国ではオタクのことを「オドック」と呼ぶ。これは、ひとつのことに集中するという良い意味がある反面、何か物事に集中しすぎて廃人になる、すなわちオタクになるという小馬鹿にしたような意味もある。

 オドックは、エンタメやサブカルの各分野に生息している。なかでも、アニメオドックと勢力を二分しているのが、男性によるガールズグループ・オドックだ。

 K-POPファンと言えば、男性グループの熱烈なおっかけ女性ファン=“ファンダム”が日本でもわりと良く知られている。日本のコンサート会場でも、少しお行儀が悪い韓国のファンダムが出没することが珍しくなく、目にしたことがある方も多いはずだ。

 昨年、韓国で大人気となったドラマ『応答せよ1997』では、現役ガールズグループ「Apink」のウンジが、「H.O.T(エイチオーティー)」という1990年代に活躍したボーイズグループの熱烈なファンダムを演じたのも記憶に新しい。

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これが女ヲタ=ファンダムの基本形。『応答せよ1997』HPより

 しかし、男性によるガールズグループ・オドックの生態は日本ではあまり知られていない。気になったので少し調べてみた。

 まず、韓国で一大勢力を誇っているオドックはAKBオドック。彼らはYouTubeで配信される総選挙に一喜一憂する。メンバーの卒業、スキャンダルなどがあればtwitterや韓ファンコミュニティが大きく揺らぎ、書き込みも頻繁に行われるようだ。またオドックたちの中では、秋葉原のAKB劇場へ旅行することを聖地巡礼の旅と呼ぶらしい。さらに韓国式のあだ名をつけたりと、日本のAKBオタクに負けない、そしてオドックの名に恥じない頻繁な活動を展開している。

 ちなみに、前田敦子は敦子をそのまま韓国読みして「トンジャ(敦子)」、高橋みなみは総監督と同じ意味を持つ「トゥモク(頭)」、横山由依は韓国料理の純豆腐(スンドゥブ)好きなことから「スンドゥブ」、柏木由紀は2ちゃんねるでもアンチがいないという理由から「2ちゃん大統領」、小嶋陽菜はAKBメンバーの中で唯一全シングルのメディア選抜に選ばれていることから「チャングンニム(将軍様)」と呼ばれている。

ヲタ同士が張り合い

 それに近い精神世界を持っているのが、CRAYON POPオドックたちだろう。セクシーガールズグループと一線を画すCRAYON POP(クレポ)メンバーを愛するオドックは、独特な相の手(オタ芸のような掛け声)を得意分野としている。

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クレポは日本でもブレイクするか? 日本公式HPより

 ライブ会場で必死に声援を送っている様が、動画サイトなどを中心に広まり話題となったこともあった。しかし、新しく台頭するCRAYON POPオドックに対しては、正統派・少女時代オドックから掲示板でこんな指摘も。

「あれは、B級路線アイドルの最終形態のようなもの。セクシー路線が飽和状態にあるための一過性の人気に過ぎない。王道に戻るべき」

 周囲から見るとどうでもよい論争だが、当の本人たちはいたってマジメ。そのようなアイドル談義がいたるところで繰り広げられている。

 その他、男性オドックの視線は、ボーカロイドである初音ミク、フィギュア女王キム・ヨナなどにも向けられる。ちなみにキム・ヨナの場合、女性のファンも大勢いるため、男性オドックと呼ばれる人々がどれだけいるかは定かではないが、「キム・ヨナオドックと少女時代オドックが衝突した場合、どちらが勝つか」などの妄想が、掲示板で盛んに論じられている。

 このガールズグループをおっかけるオドックたちの怖いところは、アンチになったとき、非常に陰湿だという点。ネットを中心に悪口やあらぬ噂を書きたてたりと、女性グループにとっては怖い存在になっている。ネットの書き込みが訴訟まで発展することが日常茶飯事となっている韓国だが、芸能人対“不良化したオドック”の戦いも今後増えて行きそうな気配だ。

 

■河 鐘基/エンターテイメントから政治まで、韓国の社会問題を広範囲に取材。雑誌やウェブ媒体を中心にライター活動を展開中。K-POPも好きだがAKB48の方が好きという、韓流ライターにあるまじき趣味を持つ。さらに正直に言えば、ローラのほうが好き。

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河鐘基

エンターテイメントから政治まで、韓国の社会問題を広範囲に取材。雑誌やウェブ媒体を中心にライター活動を展開中。K-POPも好きだがAKB48の方が好きという、韓流ライターにあるまじき趣味を持つ。さらに正直に言えば、ローラのほうが好き。