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杏の過大評価が気になる…主演女優の重圧と安易なコンテンツ制作

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『花咲舞が黙ってない』公式HPより

 「いまいちばん視聴率が取れる女」と呼ばれる杏(27)。一体誰がそう呼んでいるのかというと、週刊誌やスポーツ紙いわく、「業界人はみんなそう呼ぶ」ようだ。

 ヒロインを演じたNHK朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』が平均視聴率22.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。朝ドラ復権を果たした2010年の『ゲゲゲの女房』以降では最高で、好評だった前シーズンの『あまちゃん』をも上回った。これにより、杏はテレビ業界内で「数字を持ってる女」とみなされるようになったという。

 そんな杏を主役に起用した新ドラマ『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)が16日水曜夜に放送開始となる。昨年、最終回の平均視聴率が42%を記録した『半沢直樹』(TBS系)と同じ池井戸潤の原作小説をドラマ化したもので、銀行を舞台にしたストーリーだ。通常、日テレのドラマ制作費は1クール2000~3000万円で、大ヒットとなった『家政婦のミタ』もその程度だったが、今期から勝負をかけるドラマには4000~5000万をかけると決めたとのことで、『花咲~』には並々ならぬ期待を抱いていると週刊誌「FLASH」(光文社)が伝えている。

 しかし視聴者としては、「杏が出ているから見よう」と安易にチャンネルを合わせるものだろうか? そもそも『ごちそうさん』も、杏が主演だからという理由で高視聴率を獲得したわけではないだろう。

 朝ドラは04年ごろから視聴率的には低迷期に入っており、特に09年は『つばさ』(多部未華子主演)で平均13.8%、『ウェルかめ』(倉科カナ主演)で平均13.5%と下がったが、翌年の『ゲゲゲ』から18%台に盛り返した。だが、これでブレイクした主演女優が、その後の民放ドラマでも朝ドラ並みの高視聴率を獲得できたかといえばそうでもない。

◎『ゲゲゲ』(平均18.6%)の松下奈緒が朝ドラ後に出演したドラマの視聴率一覧

■CONTROL~犯罪心理捜査~(2011年、フジテレビ系)平均13.4%
■早海さんと呼ばれる日(2012年、フジテレビ系)平均10.5%
■鴨、京都へ行く。~老舗旅館の女将日記~(2013年、フジテレビ)平均9.8%

◎『てっぱん』(平均17.2%)の瀧本美織が朝ドラ後に出演したドラマの視聴率一覧

■美男ですね(2011年、TBS系)平均10.0%
■ハングリー!(2012年、フジテレビ系)平均12.7%
■Dr.DMAT(2014年、TBS系)平均6.9%

◎『おひさま』(平均18.8%)の井上真央が朝ドラ後に出演したドラマの視聴率一覧

■トッカン 特別国税徴収官(2012年、日本テレビ系)平均10.5%

◎『カーネーション』(平均19.1%)の尾野真千子が朝ドラ後に出演したドラマの視聴率一覧

■サマーレスキュー~天空の診療所~(2012年、TBS系)平均10.1%
■最高の離婚(2013年、フジテレビ系)平均11.8%

◎『梅ちゃん先生』(平均20.7%)の堀北真希が朝ドラ後に出演したドラマの視聴率一覧

■ミス・パイロット(2013年、フジテレビ系)平均11.7%

 これらの数字を鑑みるに、『花咲~』も平均10%程度に落ち着くのではないだろうか。もちろん、ドラマの内容が視聴者を惹きつけるものであれば話は別だが、「杏を連れてきたから安泰だ」とは言えるわけもない。

 実際、杏は撮影現場の評判も悪くなく扱いやすい女優のようだが、それにしても現在の杏フィーバーは過大評価に思え、違和感を覚えざるを得ない。日テレは毎夏恒例の『24時間テレビ37』のチャリティーパーソナリティーにも杏を任命(ジャニーズ枠は関ジャニ∞)。これでドラマも『24時間~』も視聴率が伸び悩めば「杏のせいだ」ということにされ、彼女自身の女優イメージにも傷がつきかねない。演者の話題性に頼ったコンテンツ制作に何の意味もないということに、いい加減気付いてもらいたいものだ。
(ヒポポ照子)