
Photo by JD Hancock from Flickr
よく西麻布界隈で仲間を集めて酒を飲んでいる、40代の男性がいる。
年収は3億。飲食店を何店舗も経営しており、私たちと行くお店ではキャバクラでもないのに一本10万もするシャンパンを何本も開ける。食べ物も飲み物もいくら好きに頼んでも全て彼が支払う。彼の愛称はボスという。
ボスの周りには素性の知らない怪しい輩は一切いない。一緒に飲む仲間は世間に名の知れた歌手や俳優、有名企業の経営者たちである。私が呼ぶ友人はノリがよく可愛い女が多い上に口は堅いので、ボスと私の飲み会は彼らにとっては日常生活でなかなか知り合えない一般女性との新しい出会いに恵まれる大変有意義な時間である。
当然、女側にとっても有意義だ。普通の生活をしていたら会話ができないような男たちと好きに飲んで食べるだけといったその場だけでも楽しいのに、彼らは女の子たちに「タクシー代」と言って必ず1~2万を支給する。1時間程度少し顔を出した、二度と会うことがないかもしれない女にでもだ。なんと羽振りがいいことか。
一度、私が友人を大勢呼びすぎてタクシー代だけで15万を超えることがあった。飲食代は100万を超えていた。それも全てボスはニコニコ現金払いである。ボスの財布には常に300万は現金で入っているらしい。
そんなボスは先日階段から転落し、右腕を骨折した。なのに骨折をした当日の夜も酒を飲んでいたらしいからかなりタフである。しかもさらにタフであると認めざるを得ない話を本人から聞いた。
「オナニーが一番困るんだよ。右利きだから、左手じゃうまくしごけないし。といってもオナニーとセックスは別モノだから我慢できないないんだよな」
――どうやってするの?
「慣れない左手で頑張ってるよ。俺は横向きで寝そべってAVを大画面のテレビで観ながらオナるんだけど、この間かなり落ち込むことがあったよ」
――なになに? 頑張ってるうちに折れちゃったとか?
「それはない。思いっきりイったんだけど、精子の勢いが良すぎて全部自分の顔にぶちまけて」
――爆笑。反対の手でティッシュ持って受け止めるとかすればよかったのに!
「右腕が固定されてて動かせないから、押さえる暇もなくて。すぐに拭いて洗ったけど、自分の鼻についた精子の匂いを直接嗅ぐ日がくるとは思わなかったよ……」
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