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新年度を迎えましたね。4月を新しい年度の始まりとする文化は日本独特ですが、春の訪れとともにリスタートできるこの感じ、私はけっこう好きです。元日に考えた今年の抱負をもう一度振り返り、リセットできるのも、私のような意思の弱い人間にとってはありがたいこと。でも、そういう人、少なくないでしょ? きちっとクリアしていく立派な人もいる一方で、三日坊主で終わった「2014年の抱負」の屍を見ないふりしながら3カ月間を過ごし、新年度ってことでまた目標を定めて、それも三日坊主に……というのを、毎年繰り返している人のほうが多いのではないでしょうか。
さて、私の2014年元日の抱負は「たくさんセックスする」でした。ぶっちゃけ、これがぜんぜんクリアできていません……。かなり固く決意したし、もともと好きな行為だから、なんなくクリアできるかと思いきや、事はそう簡単に運びません。一体なぜ? 原因は簡単に思い当たりました。
昨年後半、友人や職場の先輩、親戚など、私の身近なところでは不妊治療や高齢不妊の話題が溢れていました。「子供がほしい」というシンプルな願いが思うように叶わず、つらい胸の内を打ち明けてくれたその人たちの姿は、同じ女性として本当に胸に迫るものがありました。
私は現在のところ未婚で、当面は子供を産むことも考えていませんが、かといって「産まない」と決めているわけでもありません。「いくつになっても産めるわけではないよ」とアドバイスしてくれる人もいますし、そう聞かされてまったく焦らないといえばウソになります。いえ、正直なところを明かせば、頭の中で年齢を逆算したり、かなり突き詰めて考えるようになりました。
私にとっての2013年はそうやって、セックスと妊娠の繋がりを初めて考えた年でもありました。セックスをすると妊娠する可能性がある……中学生でも知っていることですが、恥ずかしながら意識せずにここまで来ちゃったんですね。でも今後、もし子供を作るんだとすれば、勤めのことを考えても「できちゃった妊娠」ではなく、きちんと計画性を持って臨みたいですね。と、サラッと書きましたが、これがいかに難しいかは、友人たちの話を聞いても容易に想像がつきます。
エア妊活で性欲減退…
排卵日に合わせてセックスをして自然妊娠を狙う「タイミング法」にトライ中という人の話もたくさん聞きました。その日は絶対にセックスしなければならない! 何がなんでも射精してもらわなければならない!! そのプレッシャーは男女とも相当なものでしょう。その重圧に耐えきれず、男性側が尻込みし、非協力的になるというのもよくある話です。そして、月にたった一度、しかも一個だけ作られる卵をみすみす無駄にしたくないという女性の気持ちはいかばかりか……。実際、それで何度も涙を飲んだ人の話を聞くと、思わずもらい泣きしそうです。
誤解を怖れずにいえば、こうなって来るとセックスは完全に「手段」ですね。それを否定するわけでもありませんし、私にはそんな資格もありません。そうやってひとつの目標に向かって心と身体を合わせることは、立派な共同作業でありコミュニケーションだとも思います。結婚式ではケーキをカットするだけで「初の共同作業!」と持ち上げるんですから、ひとつの命を芽生えさせようとする共同作業は、それだけでとても尊いはずです。でも本来なら、その前に自然にわき上がっているはずの「性欲」や「性交欲」が抜け落ちて、義務感から手段を行使するだけになってしまうと……本末転倒になるのではないかという気持ちが拭えません。
というのも、自分はいま妊娠を希望している当事者でもないのに、周囲の影響で「将来、どうやったら効率よく子供を授かれるのか」ということを、けっこう真剣に考えました。そしてセックスを手段として考えたこの瞬間から、性欲がどんどん減退していったのです……。肉体的にはムラッとしても、気持ちが盛り上がらない。そうなると「性交欲」には繋がらない。パートナーである彼と触れたいなぁイチャイチャしたいなぁとは思うのですが、だったら挿入はいりません。肌と肌の接触やキスだけで、ハイ、満足。それ以上のことはしなくていいや~、という時期が続いてしまいました。
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