こんにちは。自意識和代でございます。
あっと言う間に満開の桜が春の嵐で吹き飛ばされそうな今日この頃。
いかがお過ごしでしょうか?
毎年この季節になると花粉症に効果てきめんな薬を飲み始めるのですが、今年は薬の効きが悪いです。
花粉がパワーアップしているのか、薬の名前がEXILEみたいだからからなのか、理由は不明です。
(別にEXILEが嫌いなわけではありません)
鼻うがいが効くらしいのでマスターしようと思います。
さてさて。
今回の一品は天ぷら。
昔バイトをしていた地酒屋の定番の品です。
定番とは言っても季節によってネタがちょっとずつ変わります。
こごみ、たらの芽、ふきのとう、舞茸、しいたけ、車海老……
そんな天ぷらネタたちの中で季節を通して登場回数の多いネタがあります。
グリーンアスパラガスです。
アスパラガス3本を3~4等分にカットして揚げ、いかだを縦・横交互に積んでいくような盛りつけでした。
煎った塩をちょっとつけてパクリ。
お酒をひとくち。
ほわ~
グリーンアスパラガス。歯ざわりがいいです。爽やかです。好きです。
ある日のこと。
いつものようにグリーンアスパラガスの天ぷらの注文が入り、しばらくしてホールから厨房に戻りました。
(とは言ってもホールと厨房は厚いガラス一枚で隔てられているだけなので近いです)
「あら?」
天ぷら鍋を見やると、カットされていないグリーンアスパラガスの天ぷらが浮いています。
ま……まるまる一本!?
ノーカット版・グリーンアスパラガスの天ぷら!?
そんなのあったのか……
いつも素材にこだわりを見せるオーナーOさん。
店を立ち上げた当初は売り上げよりも仕入れ値が上回ることもあったらしいです。
「常に200%でなくてはならない」が口癖でした。
それにしても。
よっぽどその日のグリーンアスパラガスの質が良くて気に入ったんでしょうか?
一本まるごと揚げてしまうなんて。
焼き魚1尾を盛れるくらいの細長い皿に天紙。
その上にグリーンアスパラガスの天ぷらが2本。
確かにまるまると太くて長くて立派だな……。
出来上がる様子を見ていたら、Oさんが天ぷらを盛りつけながら、
「これ、僕の~♪」
と、言いました。はいはい、出たよ下ネタ。
私は天ぷらを受け取り、お客さんの元へ向かいました。
私 「お待たせいたしました。グリーンアスパラガスの天ぷらです」
女性客「わ~!! 大きい~!!」
……おい!
「これ、僕の~♪」
「わ~!! 大きい~!!」
って時間差で会話成立してるぞ!
(波濤)(波濤)(波濤)(波濤)ザッパ~ン(波濤)(波濤)(波濤)(波濤)
お客さんの前で吹き出すわけにもいかず、笑いをこらえ、口を波形にしながら私は洗い場に逃げ込みました。
洗い場のNちゃんに事の次第を報告。
笑うのを付き合ってもらってようやく落ち着きました。
あら……これじゃ下ネタの天ぷらじゃねえか。
え~、下ネタばかりじゃなんですかね。
もうひとつ、天ぷらと言えば思い出すことがありまして。
料理人でもあるお客さんが来店し、オーナーOさんと話していた時のこと。
そのお客さんは独立を考えていることについて話していました。
「(自分で良ければ)独立についていろいろ教えてあげるよ」とOさんは申し出ましたが、そのお客さんは自分の知人であるOさんに教わることに気が進まなかったようです。
プライドが云々とかおっしゃっていました。
すると、一緒にいた和服の女性はふっくらと私に笑いかけながら一言。
「ちゃちなプライドよねぇ~」
ひいぃ~!!
人のツッコミの鋭さを「ナイフみたい」とよく言いますが、和服ですし「短刀か!」ってところでしょうか。
私は「そうですよね~」とも言えず凍っておりましたが「そうですよね~」と思いました。
バカにされてもコケにされても必要ならば手に入れればいいじゃないか。その間の辛抱なのにと思いました。
ある料理店では天ぷら作りをパートのおばちゃんが担当しているという話を聞きました。
話す側は「パートのおばちゃんに天ぷらを任せるなんて」という感じだったようですが、
そのおばちゃんは来る日も来る日も天ぷらを揚げ続けていると聞いたOさんは
「それ、きっと下手な料理人よりよっぽど上手いよ」と言いました。
もしも、厨房にいる板さんが仕事に来られない事態になったら、Oさんはその料理人よりもパートおばちゃんに声をかけるかも知れないなと思いました。
来る日も来る日も天ぷらを揚げていたパートおばちゃんの話をした後でレシピに触れるのは緊張します……
なので実験結果報告な感じですが、ご了承くださいませ。
今回はグリーンアスパラガスと、しいたけ、たらの芽、かぼちゃ、鶏ささみ、きすを揚げたいと思います。
特にお勧めはたらの芽です。ほろ苦さが春を感じさせてくれます。
では参りましょう。「天ぷら」