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自称セラピスト男に気をつけろ! 真面目に性を語る場にヤリ目で来るおこぼれチンポ野郎

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前回、風俗でゴムなしナマサービスがまかり通っている現状に憤り、一般社団法人ホワイトハンズ主催の『セックスワーク・サミット』に参加したわたし。
サミットではナマ問題議論がいまいち未消化だったので、参加者と親睦を深めたく、居酒屋で行われた交流会にも顔を出しました。
交流会では性戯の味方☆ メイクラブアドバイザーの水嶋かおりんさんや、以問未幸さん(kitai場主宰:女性限定で性風俗嬢たちが集まる情報交換と学びの場)、実際に風俗嬢経験のあるHさんたちとおしゃべりすることができました。
彼女たちは、男が勝手に思い描く「可哀相な風俗嬢」とは違い、現実に存在するごく普通の女性でした。

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そこにはベタな風俗嬢のイメージとなっているメンヘラ感は一切なく、
時々残業もあって疲れるし、上司や同僚との人間関係に悩むこともあるけれど、それなりに楽しみも見いだし、日々淡々と生きている会社員と変わらないように感じました。
考えてみれば、どんな仕事もやりがいがあるから続けられるのです。
それは会社員も、魚屋も、八百屋も、米屋も、デザイナーも、歌手も、風俗嬢も、同じです。なのに、風俗の仕事ばかりが可哀相で汚れたものと見下される不思議。
もちろん、本当に過酷な労働条件で苦しく辛い思いをしている風俗嬢の方も世の中にはたくさんいるかもしれませんが、世のイメージがあまりにもそれに囚われすぎているように感じました。
他人からすればなぜそんな仕事をするのか理解できなくても、わたしがまんこのアートを楽しくてやっているように、彼女たちも接客業の一形態としての自分の仕事に誇りを持っています。だからこそ、セックスワークについて真剣に考える本サミットに参加しているのです。
わたしはもっと現場にいる彼女たちの声を、開かれた場で聞きたい。
誰も聞かないなら、わたしが聞いて発信したい。
そんな思いで談笑していた時、
「ちょっといいですか~?」
わたしたち女子のみのテーブルに、ベレー帽をかぶった茂木健一郎風味のおじさんが割りこんできました。
僕は心理セラピストです。よろしく~」
茂木風味は馴れ馴れしく、女だけで話したいわたしたちの思惑など無視して名刺を配りだしました。
内心邪魔だけど「交流会だから……」と仕方なく話を合わせていたら、
僕、人の話を聞くのが好きなんです。僕のカウンセリングルームにもやっぱり風俗関係の女性がたくさん悩みを相談に来るんですよね~」

あれ? と思いました。
昔、あるセラピー専門家の本を読んだ時、「仕事で人の話を嫌になるほど聞くからプライベートではあまり人の話を聞きたくない」と書いてあったのを思い出しました。
まんこのアートをしているこのわたしも、仕事でウンザリするほど性的な情報に関わるので、プライベートでまんこまんこ言われたくないし、言いたくない。
なんかこのおじさん、おかしいな……。
でも、茂木風味は隣に座っていた清楚なHさんにばかり話しかけてるからいっか~、とわたし含む他のメンバーは茂木風味の相手をHさんに丸投げし、別の話題で盛り上がっていました。
しばらくして、いつの間にか茂木風味がいなくなった後、Hさんが吠えるように叫びました。
「あいつ、まじ最低~!」
ど、どうしたの!? とみんなでHさんを囲んで話を聞くと、

自称セラピストの茂木風味は予想以上の人でなしでした。
まずHさんが、「心理学は何を専門にされていますか?」と訪ねると、
茂木風味はニヤニヤしながらこう言ったそうです。

「人間のメス専門です」

「君、セックスを難しく考えすぎだよ。もっとシンプルでいいんだよ」

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女性を前にしてこのセリフ

さらに、茂木風味はHさんのことをメンタルの弱い風俗嬢だと勝手に思い込み、
「よかったらここに来てよ」と、怪しげなチラシを渡してHさんを勧誘。
そのチラシは性の悩みを語り合いたい男女が集う会というぼんやりしたもの。
LGBTなどマイノリティへの言及は一切なく、単にスワッピングしたい人たちを集めたいだけのようでした。

(次ページへ続く)

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ろくでなし子

漫画家。日本性器のアート協会会員。自らの女性器を型どりデコレーションした立体作品「デコまん」造形作家。著書に『デコまん』(ぶんか社刊)。『女子校あるある』(彩図社刊)

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