――お酒強いんです~。このパーティーはよく来るんですか?
「よく来るというか……バイトみたいなものなんですよね。片づけと酒の手配だけすればあとは好きにしてていいし」
――いらっしゃってる社長さんたちの会社の方?
「まぁそんな感じです。いい仕事を回してもらいやすくなるしバイト代もいいので声かけられたら来てます」
――お若いですよね? 二十歳くらい?
「おー、すごい! ビンゴ!」
――(笑)。バイトとはいえこれだけ可愛い子たちがたくさんいたら彼女が心配するんじゃない?
「彼女とかいたことないんですよ」
――え、そんなにイケメンなのに? なんで?
「そういうの面倒くさくて欲しいと思ったことないんですよね」
――あぁ、セフレはいるわけね。
「セフレも作ったことないです」
――!? まさかの童貞?
「まさか(笑)、二十歳で童貞はまずいっしょ。セックスは週3くらいでやりますよ」
――????
「今までヤッてる女、全員一晩限りなんですよね。社長たちがどの子を気に入るかわかんないから、こういうパーティーでは見つけないけど」
――ええええええええええ!! 凄くない? リピートないの?
「ないっすね。連絡先教えないし。ヤれたらラッキーくらいにしか思ってないんすけど、クラブとかで引っかければヤれるんで」
一瞬、何を言っているのかわからないくらいたまげたわ。こう言っちゃ平成生まれに失礼だけど、まさに平成男子の理想を振り切ったセックスライフ。
いくらイケメンでも、女にそれでもいいと思わせるだけの魅力はないように見えたけど。パーティーでのオジサマたちの会話をたくさん見聞きしているから、クラブで真似て同じような口説きをしているのかもしれない。
……考えてみれば、加齢臭と香水の入り混じった匂いのオジサマに持って帰られる女を若いうちからたくさん見ていたら、こうなるのも当然かもしれないわね。ホント、いくら美しくても、食われる女も底の知れた浅はかな女だわ。
夜な夜な繰り広げられる金持ちのパーティー。また面白い人間観察ができたかもしれない。そして私は煌びやかな世界にも金持ちにも全く魅力を感じないと再認識した。
むしろ昼間は偉そうな顔をして立派な看板を背負っている人たちの裏の顔って、軽く絶望するのよね。外見や地位で人を好きになったことがない私には理解できない。その人が持つ内面から出る表情、仕草、気遣い、話し方、考え方……私は男のそういったものにいつも惹かれる。もちろん、ハゲや乞食や小汚い男は論外だけど。
何度も言うけど食われる女も浅はかな女だ。一瞬でも気に入った男相手なら、女も思う存分ワンナイトでも何でも勝手にすればいいけど、腹の底の損得勘定が目に見えてわかる。抱かれて泣きを見ることが目に見えている。20代後半になって泣きを見るのは哀れすぎて同情できないから、早いうちに失敗して学んだ方がまだ良いのかもしれないけれど……。改めてこの時代の性の乱れを感じた一時であった。
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