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我が家にいけすがやってきた!「ブラックオリーブとタコのトマトパスタ」

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みなさまこんにちは。
ただでさえ花粉症なのに風邪をひき、鼻がふさがっている自意識和代でございます。
みなさまは体調崩してはいませんか?
季節の変わり目は体調を崩しやすいので気を付けましょうと言いますが、このジェットコースターみたいな天気……。
冬物はクリーニングに出してもいいですよとTVで言われても! 油断なりませんね。
フリースもヤッケもまだ手放せません。

さて。今回のお喋りはペットのお話です。
昔、長いこと犬を飼っていたのですが、そこへ新しい仲間がやってくることになりました。

~~~回想~~~

ちょいちょい話に出てくるバイト先地酒屋でのこと。
厨房ズ1「お~い。誰かペットいる?」
私「ペット?……ですか?……?」
厨房ズ2「フグ!」
私「フグ?」
厨房ズ3「早く返事しないと処分するよ!」

フグ。なんのこっちゃと思われたことでしょう。
その時期、地酒屋の厨房方はフグの調理免許を取得すべく日々練習に励んでいました。
フグをさばく練習です。
そのため、いけすには食材の他に練習用のフグも泳いでおりまして。
ドヤ顔で鎮座する伊勢海老・あわび・車海老の周りをチビフグたちがチョロチョロ泳いでるといういけすの光景でした。

フグ試験も終わり一段落してみるとそこにはチビフグが2匹。
そのチビフグをペットにどう? ってことだったのです。
ペットにフグ……ですか……。
厨房ズ1「どうすんの?」
私「……」
厨房ズ1「じゃあ、処分するよ?」
私「……下さい!」

その夜、簡易バケツに海水とフグ2匹を入れて運びました。
かくして2匹のフグはうちの住人に。
水槽はいけすのお古を譲ってもらえることとなりました。
2匹のフグには「轟(トドロキ)」「悠々(ユンユン)」と名付けました。深い意味は全くありません。
草フグが轟で、ゴマフグが悠々です。ついでに言うと犬はチロです。
「フグの世話ってどうするんですか?」と聞いたら、フグの生態はあまり知られていないからよくわからないとのこと。
そんな……。
とにかく、バケツの海水が悪くなる前にいけす用の海水を作ってポンプを動かさねば!
しかし、そのことをオーナーに話すと、お古いけすのポンプは1年くらい動かしてないから最初は水を吸い出してやる必要があるとのこと。
どういうこと!? と思いつつ話を聞いていましたが、オーナーは説明するのが面倒になったのか、その最初の水の吸い出しをして下さることになりました。
オーナー、TくんとDくん(板前ズ)、MちゃんとAちゃん(ホール係ズ)が家にやってきました。
さながらサザエさんのエンディングシーンのようです。
「女の部屋って言うより工事現場みたいだね」などと言われつつ、無事に水槽&ポンプが組み立てられました。

真水を1日汲み置きして、ペットショップで購入した粉で海水を作って……フグたちを水槽に放しました。
のびのび。水槽生活の始まりです。2匹とも嬉しそうです。
餌は冷凍オキアミをノコギリでちょっとずつカット・解凍して入れました。
いい食いっぷりです。
可愛いな~
呼ぶとこっちを見てくれる気がしましたが、気のせいだったかも知れません。

フグたちとの生活に少し慣れてきたころ、またしても「ペットいる?」と言われました。
今度はミミイカとのこと。
小さくて、丸いひれが冗談みたいに耳がついているような形をしています。
見るからに可愛いのでフグよりはペット感があります。
「じゃあ……下さい」
また簡易バケツに入れてちゃぷちゃぷと持って帰りました。
……家が魚のたまり場になってきよるね……
「はーい。お二人さん、今日から仲間入りだよ~」と心の中でつぶやきながらミミイカを投入。

バシャッ!!……バシャバシャッ!!
え……?
ケンカ……?
墨を吐くミミイカ。まっしぐらの轟。悠々もだ。

ひえ~!!  轟と悠々がミミイカ食っとるよ~!!

(波濤)(波濤)(波濤)(波濤)ザッパ~ン(波濤)(波濤)(波濤)(波濤)

そんなわけで名前もつけられることなく、ミミイカ2匹はフグの餌となったのでした。
ミミイカを食べるフグたち……それはそれは見事な食いっぷりでした。
そういえば轟も悠々もオキアミに飽きてたような気もしていました。
次の日、ミミイカたちの死をみんなに報告しました。
オーナーが「ミミイカはバター焼きが旨いんだよ」と一言。
私の中に、
「早く言ってよ! 私がミミイカ食べたかった」
という思いと、
「え? ペットとして渡したんじゃないのかい?」
が混在し、結果黙り込んでしまいました。
笑われたり、「フグって雑食だって聞いたことあるよ」と言われたりして、最終的には「めでたし、めでたし」ということになりました。
めでたいのか……

それから数カ月流れたころ、轟が動かなくなりました。
……あら?
水槽の中に入れた岩に何やら半透明のつぶつぶがびっしり。
え……これ……卵!?
……どうしよう。
オーナーも板前男衆も扱いはわからないとのこと。
大学時代の釣りキチ先輩に久しぶりに連絡を取ってみました。
草フグは春から夏にかけて岸へ移動してきて産卵をしに来るんだそうで。
まず雌が卵を産みつけ、雄が放精するんだとか。
「水槽の岩ごと海に持って行ったら子供生まれんかな~」と聞いてみましたが答えは「無理。諦めろ」でした。
草フグの産卵スポットなんてどこかわからない。
結局、轟はそのまま亡くなってしまい、卵もどうすることもできませんでした。
結果は同じでも、卵付きのチビ岩を海に持って行っても良かったのかも知れないなと思いました。
気が済むかどうかの問題だけかも知れませんが。
ごめんよ轟。何もしてやれんかった……。
短い間だったけど、楽しかったよ。

……

轟が死んでしまって悲しかったですが、ふと思いました。

亡骸どうしよう。

オーナーからは「轟を生ゴミで出したり、土に埋めたりするな」と言われました。
もしも野良猫や野良犬がゴミをあさり、轟の毒にあたったりしたら保健所から怒られるとのことでした。
困った挙げ句、ビニールにくるんで冷凍庫に入れました。
冷凍庫だなんて気持ち的にも衛生的にもどうかと思いましたが、どうしたら良いのかわからなかったのです。
さらに数カ月後。悠々も亡くなり、2匹とも冷凍庫に保管しました。
亡くなったら土に帰すって思ってきたけど、それがダメなんだもんな……。
轟、悠々、すまん……

あ。

海に生きていたのなら、海に帰せばいいんじゃない?
ある日、そう思い立ち、車で海へ向かいました。
船止めのあるコンクリート壁から凍った轟と悠々を海へ。
……ちゃぽん。……ちゃぽん。
しゃがんでお見送りしました。
轟と悠々が流されて行くのをじっと見ていました。

さてと。帰るか。
飲み物でも買おうと売店に寄ったら店のおじさんに声をかけられました。
「あんた、ず~っとしゃがんで海を見てたから、死ぬんじゃないかと思っちゃったよ~」
あ……
確かに、端から私の動きを見たらそりゃ怪しいわな……。

「す、すみません……(中略)……海に飛び込んだりしないので大丈夫です」
おじさん……心配させてごめんなさいよ……。

轟、悠々、チロ。今はみんな空の上であります。
ちゃんちゃん!

さて、全っ然タコもオリーブも出てきませんでしたね。
タコとブラックオリーブのパスタは、水槽を取り付けてもらった時にバイト先の方々に出した夜食でありました。
タコから出る旨味が好きなんですよ~。
グリーンオリーブでも作ってみましたが、どちらかと言うとブラックオリーブで作ったほうが好きです。
オリーブはブラック! それも種あり推しです。
種があるほうが塩気がマイルドでコクを感じられるような気がします。

 

では参りましょう。「ブラックオリーブとタコのトマトパスタ

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自意識和代

人の好意をなかなか信じられず、褒め言葉はとりあえず疑ってかかる。逆にけなし言葉をかけられて「なんて率直なんだ!」と心を開くことがある。社交辞令より愛あるdis。愛がなければただのdis。凹んじゃうよ! ラブリーかつ面倒なアラフォーかまってちゃんである。