seriesend

「死ぬほどSEX」も大概にしろ! 童貞力にまで手を出し始めたオヤジ誌

【この記事のキーワード】
Photo by TenthMusePhotography from Flickr

Photo by TenthMusePhotography from Flickr

 発売中の「週刊ポスト」(小学館)の【死ぬほどセックス】特集は、何がしたいのかさっぱりわからなかった。扉ページを彩るタイトル・見出しは以下の通り。

死ぬほどSEX もっとしたい、もっともっとしたい
肉食熟女が欲しいSEXはすべて童貞が知っている
あなたから失われたものが、彼らにはある――シニアよ、DTにかえれ!

 なんでも、いま肉食熟女たちの間で童貞が大人気で、「死ぬほどセックスを求めるシニア男性」も初心に立ち戻り“童貞力”を取り戻そうという提案である。

 記事ではマーケティングライターの牛窪恵、作家の亀山早苗、コラムニストの菊地美佳子、漫画家の峰なゆかという女性陣が「童貞はイイ!」「童貞が流行ってる!」と太鼓判を押す。いわく、童貞男子というのは

・テクニックはないが鮮度がいい(産地直送の魚のようなもの)
・自分好みに育てられる
・生身の女性の身体に興奮し、悦びを表現してくれる

 こういった理由で、経験豊富な肉食女性たちから好まれているという。確かにmessyでも3月上旬に【肉食女子必見、「童貞男子狩り」のススメ!】という記事があったが、しかし男を好きになるとかセックスの相手を選ぶとかの判断基準が「童貞か否か」のみに集約されるといったらそれは誤解だろう。あくまでも「そういう需要もあるにはある」ということであって、「童貞だからモテる」と単純に考えてはいけない。むしろモテないから童貞なのだし。

 さらに言えば、彼女たちが求めているのは「初々しさ」であり、若さでもあると思う。中年童貞とお手合わせすることになったとしたら、失礼ながら「ああ、この人はこうだから今まで童貞だったんだな」と納得する残念な点がいくつも明らかになるだろう。まして死ぬほどセックスしたいシニア男性が童貞心を蘇らせたって鮮度も何もない。

 そして何より頭に「???」が浮かんで消えないのは、結局「シニア男性が童貞力を取り戻す秘訣や方法」が、この企画のどこにもわかりやすく書かれていないことである。1ページめで「童貞力は最強の武器。シニア男性よ取り戻そうぞ」と煽り、次のページでは官能小説ばりの体験談に移り、ラストは「シニア男性が憧れる最高の童貞喪失」と言う妄想。体験談ページには一応、

・初心者特有の“させていただいている”謙虚さを持て
・自身の快感より女性に尽くすことを優先させよ
・気持ち良かったら素直に実況せよ
・貪欲に行為に没頭しよう

 という4つの童貞ポイントが書かれているのだが、これは果たして童貞喪失時の特徴と言えるのだろうか……?

 死ぬほどセックス! の企画に毎度ツッコミを入れるのは本当に野暮なことだと重々承知ではいるが、「オヤジよ童貞力を取り戻そう!」というこの企画はさすがに迷走している感が否めず、スルーできなかった。「童貞力」うんぬんというよりも、「気遣いの心を持ちましょうね」とやんわりシニア男性に注意喚起しているように読めたのだが気のせいだろうか。
(まい竹城)