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ナチュラル系女子は眞木蔵人の生き方に学べ

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 もちろん、気になる点がないわけではありません。「不況だからお金を使うのを諦めよう、贅沢を止めよう(みんなお金を一番に考え過ぎだからリーマンショックとかが起こるんだ)」という呼びかけは、経済危機を眼の辺りにした政治家が緊縮財政に目覚めてしまうのと同じ過ちをおかしているようにも思われます。

 お金が動かないと景気は良くならないのに「この経済危機は、贅沢をしてきた国がツケを払う機会だ!」とかいって(経済学的な反省ではなく)道徳的に反省してしまい、お金が動かないような政策をとってしまい、より不況が悪化する……これと同じ。「みんながお金を使わないと余計に不況になるじゃん」と思いますし、今より悪い生活水準を我慢して(=自然に)生きるのが幸福だ、という眞木の立場には賛成できません。

 第一、自然に生きようとすると普通に生活するのよりお金がかかるという矛盾がある。無農薬野菜買ったりしなきゃなんでしょ? 無農薬野菜をたくさん作ろうとするとコストはかかりますし生産量も下がるので、供給量が間に合わず、みんながお腹ペコペコになりませんか? あと細かいところですが、苺の旬が「冬」と書いてあって「そりゃ、ハウス栽培のものだよ、全然自然じゃないよ」と思いました(路地栽培の苺の旬は、春から夏です。自然と共に生きている眞木蔵人でも間違って覚えてしまうところに、社会の恐ろしさを感じますが……)。

 ただ、以上のように賛成できない部分もありつつ、彼のブレない思想は全面的にリスペクトしたくなります。それは、ファッションでも、新しい消費スタイルを「ナチュラルなライフスタイル」とか呼び変えただけのフェイクじゃないから。『ku:nel』(マガジンハウス)や『リンネル』(宝島社)を読んで「丁寧な生活」とか言ってる女子は、彼のようなリアル自然派の言葉に触れて「わたし、全然甘ちゃんだったわ……」と反省してほしいです。「ナチュラル系」という言葉は、眞木蔵人か、寺門ジモンにこそ相応しい言葉なんだ

 その他「今の世の中、なんか生きづらいよね~」「最近のテレビってホントにつまんないよね~」とお嘆きの方々、その生きづらさやテレビのつまらなさの理由が、本書には書いてあると思います。すごい言葉の持ち主ですよ、ホントに……。

■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra