
Photo by U.S. Army from Flickr
【初回:身体改造パフォーマーという職に就いた女】
【第二回:常に刺激にまみれていたい…身体改造パフォーマーは普通コンプレックスの塊】
短期集中連載・必殺裏仕事人
「日本のディープな場所で働く男女」に注目する本連載。前回、元M系のAV女優で身体改造パフォーマーの仕事をしている私の友人のカナエ(26歳・仮名)にインタビューして“普通コンプレックス”を解消するためにブッ飛んだことをしている話や、いつでも刺激を求めていること、観客にパフォーマンスを見られる苦痛こそが快楽であり興奮材料であることなどを聞いたけれど、まだまだ足りないわ。
豪快なタトゥーと蛇のようなスプリット・タンを持つカナエ。ショーの目玉である「ボディ・サスペンション」という、人体の皮膚に直接フックを通して吊り下げるパフォーマンスの実演モデルをし、スポンサー(いわゆる愛人契約ね)からの援助で生活している彼女の人生観を、掘り下げていくわね。
刹那的な楽しさの最中で死にたい
――私も好奇心は強いほうだしショーを見て凄い衝撃は受けたけど、自分も身体を改造しよう! とはならないのよね。その壁って何かしら。
「逆にどうして? そこに嫌悪感がないのにやってみようとはならないの?」
――うーん、改造人間に興味はあるわ。でも普通の自分でいたい気持ちのほうが強いわね。
「理性がきくか、きかないかの差ってことだよね。タトゥーも舌割るのも身体に刺すのも、生きてく上で必要ないことだらけなんだけど、私は明日とかその先のことを考えない。私はやりたいと思った時に何でもやるし、いつ死んでもいいと思ってるから」
――タトゥー入れただけで温泉もプールも行けないものね。
「そうそう、要らないことだらけだよ。舌割ったら治そうと思ってもすぐには治らないし綺麗に元通りはならないし、私がやってることって人生に必要のないことがたくさんだけど、やりたいと思ったらすぐにそれをやらないと気が済まない」
――実行しないと自分に納得できない性分なのね。
「毎日楽しい、楽しい、と思ってたい欲が強いのかも」
――楽しいって感情って、普通に生きてたら結構刹那的なものだったりするでしょ?
「あ、そういえば最近楽しいと死にたくなるの」
――(笑)! どういうこと!?
「楽しい絶頂で死にたいって気付いた。私って悲しい時とか落ち込んだ時に死にたくならないんだけど、『幸せー!』とか、『楽しいー!』とか、そういう絶頂で死にたくなるなぁって」
――私が好きな男とセックスしてる最中に死んだら幸せだろうな、って想像するのと似てるのかしら。
「そうそう。やりたいことを常にやっておかないと、いつ死ぬかなんてわからないんだから。自分がやりたいことで後悔するならそれで構わない。実際に後悔してることってないけど」
――家族とか周りの人は、仕事のことも改造のことも非難してきたりしないの?
「それは多いよ、いろいろ言われる。私のためを思って言ってくれるのかもしれないからひとつの意見として聞くけど、でも誰に何を言われてもその人たちが私の全てを面倒見てくれるわけじゃないし人生を保証してくれるわけじゃないでしょ。だから今楽しいと思ったことをやって死にたいっていうのは曲がらない。けど普通に生きてる人の、『長い目で見なよ』っていう意見も……その意見のほうが正しいのもわかってる」
――普通、やりたいことよりもやらなきゃいけないことのほうが多いからね。
「私は理性がきかないから。レイプ犯と同じだよ。私がレイプ願望のある男だったら、きっと連続レイプ魔になってる。普通は、『捕まっちゃうからAVでオナニーしよう』で終わるところが、私は『今あの女犯したい!』って思ったら否応なしに犯してる。子供なんだよね、理性きかないの。やりたいと思ったらやりたいの」
――最近やりたいと思うことは?
「本当は坊主にしたいけどモテないのは嫌だから思いとどまってる。坊主にしてもモテるなら今すぐする」
――顔が可愛いから坊主でも似合うかもね。小顔だし。
「うそ、やろうかな。普通に坊主にするだけじゃなくて頭のてっぺんだけハゲにしてそれを三日くらいに分けてちょっとずつハゲ部分を広げたい」
――……ごめん、それはモテなくなると思うわ。
「だよね(笑)……坊主じゃなくてもいいから、周りの女の子がやってないことをしたいな。身体改造とかだけじゃなくて、経験してないことで自分の感性に引っかかることならなんでも。今まではそれが痛い系だったりしたから、それが目立つだけであって」
――普通の子でいう「海外旅行行きたい」とか、そんな感じなのかもしれないわね。
「行ったことないから行きたい、っていうね。そうだね、海外旅行みたいなもん」
――でも旅行はみんながやれることだから興味を持たないんでしょ?
「写真で見たり話を聞くだけで行った気になって満足する。想像がつくことはやらなくていいかなって」
――本の情景描写で風景が浮かぶと、その世界に入り込んだ気分になるのと同じかしら。
「実際の目で見たら違うのかもしれないけどね。ハワイとか2回行ったけど2回目にしてもう飽きてた。でも身体で感じる痛みだったり興奮だったりっていうのは毎度違うから、やりたいことを考えると身体をいじることに結びつくかなぁ」
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