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彼氏彼女の同棲で発生する「家事負担バランス問題」を改善するには?

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Photo by Christopher from Flickr

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 当連載『恋愛コンサル男子』も早いもので連載50回を超え、今回が51回目の記事となります。【messy】開設当初より1年ほど原稿を書かせていただいておりますけれど「ヤバい……今週書くネタが見つからない!」と凪のような瞬間がやってきて、苦しみながら書くこともございました。この51回目の記事もちょうど、凪タイムなのです……! 「これならネタになるかな~」と目星をつけて読みはじめた『an・an』5月28日号(マガジンハウス)「漫画で復活! 好きな男、抱かれたい男」特集のあまりの内容のなさに「ヤバい、これ、空振りだわ~……」と白目を向きながら、パソコンのキーを叩いています。

 言うなれば、漫画好きの方々がファミレスで「漫画のキャラが現実にいたら、誰と付き合いたい~?」「え~、悩む~!」などとキャッキャしている様子を、わざわざ読まされた感じ。読後に訪れた空虚さは「こんなのTwitter、あるいはアメブロにでも書いてろよ!」という呪詛の言葉を生みました。昨年秋にリニューアルして以降の『an・an』は、あまりにライトで雑誌としての機能を果たしていない特集が増えている気がします。これのどこが「20代女性の好奇心に応えるウィークリーマガジン」なのか。編集者が好きなものを取り上げて、喜んでいるだけじゃないのか(あ、でも注目の女性漫画作家の仕事場を紹介している記事は、面白かったです)。

 などと憤っているうちに、どんどん原稿が進んでいますけれどこんなことをアレコレ書いていても生産性皆無であるため、今回は特集から離れてコラム・コーナーに注目します。本号では、作家の山内マリコさんが「同棲中の食事の用意」について綴っていました。

 会社員の彼氏と同棲中の山内さんは、自宅を仕事場としているので必然的に夕飯を作るのが「任務」となっているのだそう。しかし、彼女にとってはそれが現在の悩みのタネ。「まだ仕事が終わってないのに」、「別に養われているわけでもないのに」深夜帰宅する彼氏のために夕食を作ることにやるせなさを感じ「やっぱ同棲って男が楽するだけだな」と思ってしまうのだとか。

 これは男の胸にチクリと刺さって痛い「言われたくない言葉」です。でも、きっとそう思っている女性は多い気がします。そしてこれは同棲カップルに限らず、共働き夫婦でも「あるある」な問題です。「同じぐらい働いているのに、結局ワタシばっかり家事やってるよね!」と。しかし、これは単純に家事分担のバランスの問題ではありません。

 カップルの双方が一人暮らしをしていた場合、同棲によって家賃や光熱費、食費などのコストを折半できるなどの経済的メリットが生まれます(家族と同居からの同棲スタートだと、まったく新しく生活コストが生まれますが)。また、掃除にしても、洗濯にしても、別々に住んでいるよりも一緒に住んだ方が合理的に処理できます(単純な例をあげれば、別々に住んでいたら掃除しなきゃいけないお風呂はふたつだけれど、同棲していればひとつになる)。金銭的でも時間的でも生活コストを下げるのに同棲は有効な手段のひとつだと思います。

 しかしながら、折半/分担可能な生活コストのなかでも「食事」はひとつの鬼門なのです。仕事帰りにコンビニによってパスタサラダと氷結のレモンを購入し、深夜のバラエティ番組にニヤニヤしながら食べる……こんなふうに一人暮らし時代は食事をいい加減に済ませていた人でも、同棲を始めた途端「いい加減に済ませるのは良くない」、「折角だから作って食べたい」と頑張ってしまうのです。こうなると生活コストは折半どころか純増することになります。「家庭内の炊事は女性の仕事」という古くからの価値観の積み重ねにより、多くのカップルで食事担当は女性です。すると増えたコストを女性が丸抱えすることになる。「同棲は男が楽するだけ」という不満は、こうしたところに要因があると思います。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra