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2014年の今こそ見るべき『東京ラブストーリー』 クソ男は23年前から1ミリも変わっていなかった!?

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 先日、「文化系トークラジオLife」(TBSラジオ)主催のトークイベントに登壇してまいりました。企画名は「ドラマヒロイン進化論」。1991年に放送された『東京ラブストーリー』の赤名リカ(鈴木保奈美)と2014年に放送された『失恋ショコラティエ』の高橋紗栄子(石原さとみ)を比較し、約四半世紀の間に女性の生き方はどう変化したのかについて語り合うという内容でした。

『東京ラブストーリー』フジテレビオンデマンド公式ページより

『東京ラブストーリー』フジテレビオンデマンド公式ページより

 この準備をすべく、23年(!)ぶりに『東京ラブストーリー』を見返してみたわけですが、驚かされたのが、ドラマに出てくる男たちのクソメンっぷり。あれ、こんなにとち狂ったドラマだったっけ? あまりにクソすぎて、イベントではカンチ(織田裕二)や三上(江口洋介)を終始ディスりまくる始末。お役に立てたかどうか、不安なところではあります……。(詳細は共演者である白河桃子さんの「大手小町」での連載記事をご覧いただけると幸いです)

 カンチや三上は、一体どこがクソだったのか。昔のドラマゆえ、当時ドラマ視聴者だった読者ももはや細かいことは覚えていないかもしれませんし、若いユーザーさんに至っては見たことのない方もいらっしゃると思いますが、いくつか具体的なシーンを挙げながら元気に言いがかりをつけていきたいと思います!

・男たちは全然お皿を洗わない!

 ドラマでは、男が彼女の部屋で食事をするシーンが何度か登場します。仕事終わりに部屋でカンチに手料理を振る舞うリカ。初めて結ばれた夜の翌朝、寝ている三上を前に甲斐甲斐しく目玉焼きを作るさとみ(有森也実)。非常にスイートなシーンではあるのですが、ご飯を食べた後、驚くべきことに男たちはお皿を洗いません。料理を作ってもらったのに! お皿を洗うのは彼女たち。男たちといえば、ゴロゴロしたり雑誌を読んだりしているだけ。特にリカなんかは、1986年に施行された男女雇用機会均等法以降の自由で進歩的な女性像を体現するキャラとして描かれていたはずなのですが……それでもなお、料理を作り、お皿まで洗わされている。私はここに、根深い昭和的価値観を感じずにはいられませんでした。とにかく食べたらお皿を洗え!!!

・女子の部屋でガンガンたばこを吸う! 

 これは当時の感覚では違和感のないシーンだったかもかもしれませんが、男たちは部屋でガンガンたばこを吸うわけです。部屋が臭くなるから外で吸え!!! ちょっと話はそれますが、酔っぱらったカンチと三上が夜中にいきなりリカの部屋を訪れるシーンがあります。突然の訪問にも関わらず、部屋に上げて一杯付き合ってあげるリカ。カンチと三上はたばこをスパスパ吸いながら酒を飲み、くっだらない自分たちの青春懐古話をリカに聞かせ、挙げ句の果てにベッドとソファを占領して眠りこけてしまいます。風呂も入らずに!!! そのくせカンチは後日、女友達を引き連れていきなりカンチの部屋を訪問してきたリカに対し、ブス~っと不機嫌を決め込み、「自分勝手すぎるんだよ」と説教をたれます。おいカンチ! てめえも同じことしてんだろ!

・彼女に別れを切り出されると急に焦り出す!

 三上は遊び人の医大生という設定で、何人もの女性を部屋に連れ込むナンパ野郎なのですが、一方で高校時代の同級生であるさとみを一途に思い続けているという一面を持っています。このように「遊び人だけど実はピュア」という属性が埋め込まれている時点でクッソ甘やかされているわけですが、せっかく意中のさとみと付き合えた後も、彼女を不安がらせる浮気行動を止めようとしません。やがてさとみはその不安に耐えかね、三上に別れを切り出します。浮気というのは、されたかどうかということよりも、「されてるかも……」と不安を抱き続けることの方がストレスになるので、さとみの決断は至極もっともな感じなのですが、最後「いろいろあったけどありがとう」と笑顔で別れを告げる大人なさとみに対し、三上が放ったひと言が衝撃的でした。大声で「ヤだよーーーーーー!!!!!!」と叫ぶ三上を、私は切なすぎて直視することができませんでした。

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清田代表/桃山商事

恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆などを通じ、恋愛とジェンダーの問題について考えている。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)や『大学1年生の歩き方』(左右社/トミヤマユキコさんとの共著)がある。

twitter:@momoyama_radio