――プレイのメニューの内容は?
「オシッコをかけてほしいとか飲みたい、とかだったら2千円。ウンチだったら5千円。抜きのサービスは女の子との交渉次第」
――ずいぶん安いのね。女の子の給料はどんな感じで支払われるの?
「4時間くらいで日給5千円。安いけど、キャバクラと違って無理に話したり色恋する必要もなくて、ただ顔見知りの人たちと好きにお酒飲んでるだけだから楽だからいいかなって。ノルマもないし」
――プレイをした時のバックは?
「全額女の子にその場で直接お客さんからもらえる。チップくれたり、メニューの価格より多くもらえることもあるよ」
――そういうお客は遊び慣れてる人なんでしょうねぇ。それはどんなマンションで繰り広げられるの?
「普通に狭い、一人暮らし用の1LDKだよ。内装が凝っているわけでもなく怪しい雰囲気もない。宅飲みみたいな感覚」
――そんな狭いならその場でプレイとかになるんじゃない?
「いや、リビングで飲んでるんだけど、そこに簡単な仕切りは一応あるから公開プレイとかはないかな。まぁでも声とかは普通に筒抜け」
――ちょっとそれは恥ずかしくない? 別室にしないのはどうしてなのかしら。
「従業員もいないし、お客さんが勝手に変なことをしないようにオーナーの目が届くところで、っていう配慮のもとで完全な密室状態にはしないんじゃないかな。でも変なことしたらすぐ出禁になるし、元々がオーナーのお客さんだから教育が行き届いてるというか……危ないことがあった事例もないんだよね」
――1LDKの一室を仕切られてるだけなら、スカトロプレイの時臭くない?
「それはお風呂場でやる。掃除はちゃんとされてるけど、入ると臭うよね(笑)」
――でもそんなマニアックな場所ってなかなかないじゃない? 狭い部屋でも、お客さん結構集まるんじゃないの?
「多くの会員がいるわけじゃないし規模も小さいから、全然。一日に来るお客さんが平均2人とか」
――そんなに少ないのね。女の子は多いの?
「自由に行っていい感じだから会ったことない子もいるしちゃんと把握はしてないけど、オーナーと私だけの日もあれば、3~4人の日もある」
――へぇ~……新規のお客さんはどうやってお店のことを知るのかしら。
「フェチ系の店とかイベントとかで口コミで回るんじゃない? 場所は公表してないしね。オーナーの電話番号だけ最初伝えられて、電話で『この辺りです』っていう大まかな場所しか言われないみたいだよ。『近くまで来たら詳しく言います』みたいな」
――ブラックな匂いがプンプンするわ~。オーナーひとりで全部対応できる規模なわけだものね。
「その小さい規模の身内感、仲間内感が好きって言って通ってるお客さんばかりだよ。まったり飲んでるのが楽しいって言って酒だけ飲んで帰る人もいるからね」
――普通に飲んでて、『あら、また来てるの~?』って人ばっかりなレベル?
「そう。全然スカトロに関係ない話とかもして仲良くなるし、あだ名とか付け合ったりする。そういう店だから本名で名乗り合わないからね、お互いが適当につけて定着した名前とかで呼び合ったり」
――仲良くなって、店を通さないで会おうとか言われない?
「意外とないんだよね。下手にそんなことして出禁になったら嫌だろうし、そこはオーナーの教育の凄いところもあるし」
――そのへんの安心感があるわけね。どんな客層なの?
「暗黙のルールで仕事聞いたりはしないかな……何せ特殊な趣味なわけで普段は隠してるってみんな言うしね。でも年配の方が多い中で、ひとり20代前半の常連さんがいる」
――ええっ、そんな若いうちからスカトロにハマっちゃう男が……。
「オッサンたちの中で、息子みたいに可愛がられてるよ(笑)」
――働いてる女の子は若い子? 見た目とかどんな感じ?
「いや、30代もいるし、ブスもいるよ。暇な時にお小遣い稼ぎにくれば? っていうスタンスのオーナーだから、採用基準とか特にない。私くらいの年代でイケイケな子だったら、普通に風俗嬢やったほうが儲かるだろうし」
――じゃぁどうしてナオは風俗店には行かないの?
「私はこの雰囲気がいいかなって。風俗やったことないから実際わかんないけど、『初めまして~』で知らない人とすぐそういうことしなきゃいけないのは怖いし、従業員も全部見張ってるわけじゃないから何があるかわかんないから怖いよね。事件も実際多いじゃない? それに比べたらここの常連さんはいい人多いし、お客さん来なくても日給はもらえるし、拉致監禁みたいな危ないことにはならないし。好きに飲んで、遊び半分でプレイするスタンスは嫌いじゃないしね」
あっけらかんと話すナオ。スカトロプレイ自体に抵抗はなかったのかしら。他の性風俗業に限らず、別の仕事に就かずあえてこの職場にいる理由は何? 後編では根掘り葉掘り聞いていくわね。お楽しみに。
(つづく)
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