「メニューもそんなにきっちり決められてなくて、値段設定もかなりアバウト。『これくらい払うからこれさせて~』ってお客さんが言ったとして、女の子がOKなら成り立つ。それも本当に軽いことだったりするけど」
――軽いことって例えば?
「ん~、千円でキス、とか?」
――全部が決まってないって聞いて風俗とは全然違うって理解したわ。
「ちゃんとしてないってことなんだけどね(笑)。稼げるのは風俗だけど、がっつりやるつもりもないから楽に越したことはない。風俗店のほうが稼げるとしても、ちゃんとしたお店に入っちゃうと、『今日は出勤できません』とか『これがヤダ、あれがヤダ』とか言えないわけじゃん?」
――あくまで自由な状態がいい、と。
「自由がきかないなら続いてないと思う。安いかもしれないけど『これしたくない』とかそういう意見が通らないとイヤ。オーナーが女性だから、女の子の気持ちもわかってくれるし女の子の味方。ケアもしてくれるしね。完全にブラックだし摘発されたらアウトなところだけど、ストレスもないし居心地がいい」
――で、就職する前の繋ぎのバイトなわけだけど、その仕事いつまで続けるの?
「……わかんない。就職先が見つかっても、月に1~2回とかは行くかも。やりたいってわけじゃないけどイヤじゃないから。昼間の仕事のほうがストレスだったもん」
――逆に仕事で楽しいと思う時ってどんな時?
「あんまり感情移入してやってるわけじゃないから、何をもって楽しいと言うのかわからないけど……変態さんたちの性癖の話とかいろいろこと細かく聞けるのは楽しいよ」
――ああ、入り口がもう変態として知り合うわけだからね。包み隠す必要がない。
「そうそう、普段接する人たちって、男女ではまた違うかもしれないけどマニアックな性癖持っててもなかなか言わないでしょ? 私も友達とかにも言えないタイプなんだけど、そういう場では変態が集まってる安心感からか、余裕で言えちゃう」
――え、普段接してる人に普通に言うわよ私。性癖というか、好きなプレイとか体位とか聞かれたらピシャッとすぐ言う。
「……普通は言えないんすよ!?(笑) 変な性癖があっても友人、彼女、家族とかに隠して、そういう場で発散するために遊びにいく、みたいな。お客さんが『彼女にウンコ食わせてくれなんて、口が裂けても言えない……』ってよく言ってる」
――それはそうね……。私も最近アダルトグッズのレビューの仕事を始めてから、男友達とそういうオモチャについての話をするんだけどね。みんな興味持つから『彼女と使ってみなさいよ』って言うと、男は『ドン引きされるよ~怖いよ~言えないよ~』って。
「言えないよ、うんうん、普通そう。普段言えないこと。だから、私が働いてる場は匿名性があるからそういうディープな話も言えて楽しんでるお客さんが通うんじゃないかなぁ。顔だけ見えるけど、本名も知らない、普段何してる人かも知らないことがメリット」
ナオの性に対する概念
――仕事してから、大体の性癖に抵抗ってなくなったんじゃない?
「……仕事してからというよりも、元からそんなに抵抗がないからな……。って、蜜柑さんも知ってるでしょ、私の性事情は!(笑)」
――ああ、そういえば酔っ払ってナオが公開フェラとかレズプレイしてるの見たことあるわ。
「何人もの人にAVみたいにムービー撮影されたりもしたし。元々性に対するプライドがないから、やれって言われたらどこまででもやれる」
――やってる時って楽しい?
「楽しくはないけど……いや、楽しいとか楽しくないとかじゃないの。目の前にチンコがあって『抜け!』って言われたら『はい、抜きます』みたいな。そこに何の感情もない。興奮もしないし嫌な気持ちもしない」
――えええええ! そうだったの!? てっきり楽しんでるのかと……。
「行為に対するプライドがないってだけだね。あ、でもさすがにウンチは食べれないよ?」
――うん、そこはせめて抵抗してほしいわね。
「無理無理、絶対無理。オシッコも飲めない。出すだけならいくらでもできるけど。男が受け身なだけの仕事でよかったよ~。女の子の排泄物を食べたいです、っていう人を集めただけの場だからね」