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スナック勤務で出くわした珍客とは?…原点はママの味「キュウリの梅漬け」

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こんにちは。自意識和代でございます。

いきなり初夏を通り越して夏か!? と思ったら雨・雨・雨。
梅雨突入!?
長靴を持っていないので靴がビショビショです。
「いい加減長靴を買ったほうがいいのか」と思い店を見て回ると、長靴が品薄状態とな。

梅雨に突入した途端、それはもう見事な売れっぷりだったそうです。
途中雨があがったりして「もう少し待って買おうかな」とくすぶっているうちに、やり過ごして来年になる気もします。

あら。また前置きが長くなってしまいましたね。
雨と言えばカッパ。カッパと言えばキュウリ!
ボリ・ボリ・ボリ……

~~回想~~

むか~し、昔。
貯金をしたかった私は、パズルのようにバイトを組み合わせて働いておりました。
地酒屋、肉まん屋、非常勤講師。
それぞれ毎日行っていたわけではないですが、曜日によっては3カ所移動する日もありました。
朝は「先生~」と呼ばれ、
午後は肉まん屋で年下の女の子に「生地作って持ってきて~」と言われ、
夜は「お~い、伊勢エビ(持ってこいや~)」と言われる、という具合です。
いけす水槽内を逃げ回る伊勢エビにイラついて網を脇に置いて素手で掴む。
伊勢エビとの戦いに勝った!
と思った直後、尾っぽで跳ね上げられた海水が私の髪からしたたることもありました。

そんな日々を過ごしていたある日、地酒屋の板前兄ちゃんから「スナックで働いてみない?」と誘われました。
板前兄ちゃんの女友達が働いているし、お客さんの年齢層高いしギラギラしていないところだから安心だよ、とな。
人が足りなかったようで。
行ってみました。

確かにわかりやすいギラギラはありませんでした。
カラオケで歌われる曲は「青葉城恋歌」や「花の首飾り」や「男と女のラブゲーム」などの昭和歌謡です。
客層は50~60歳くらいでしょうか。
そこで働いていた板前兄ちゃんの女友達は当時27歳で、私は30歳、もう1人のお姉さんは32歳で、ママは60歳くらいでした。
視察? を終えてそのまま接客。働くことになりました。

とはいえ、困りました。
私は喋りが苦手でどちらかと言えば人見知りです。
バ~ッカじゃねえの? ですね。スナックのお姉さんなんて機転と喋りが売りなのに。
しかし無理矢理でも乗り切りたい。私は歌って踊ってごまかすことにしました。
ある日「あんた、スナックの姉ちゃんって感じじゃねえな」とお客さんに言われてしまい。
スナックの姉ちゃんとして働いていたのに、お前はダメだと言われた気がしてカチン……ときました。
すると。
ママ「ミカちゃん(スナックでの私の名前)、ディナーショー!」
私「はいっ」
♪~必死で歌い踊る~♪
客「まあ飲みなさい」
歌い踊る私の姿が滑稽だったのか、哀れだったのかわかりませんが、とりあえず受け入れられました。
こうしてお喋りスキルのなさを強引にカバーするスタイルができていきました。

衣装は……ちょっとセンスが変わっていました。
ちょっとラメの入った生地に犬と猫の絵がど~ん! というカットソーにタイトスカートとか、チンドン屋というか昔の旅芸人を思わせる褐色とグレーがぐしゃっと染められた上下とか。
浴衣なんだか甚平なんだか……よく覚えていませんが不思議な作りの衣装の日もありました。
しかも当時の私はベリーショートが伸びかけていた上、うっすら茶髪という中途半端な髪型をしていました。
整えてみたところでなんとなく山猿感が漂います。
お客さんを見送りにエレベーターに乗る時、時々他店のお姉さんと遭遇します。
他店のお姉さんのバッチリドレスとヘアメイク。キラキラです。そして若い。
最初はなんだか申し訳ない気持ちになり気後れしましたが、次第に開き直るようになりました。
山猿Yeah!

そんな週2日のスナックライフに少し慣れてきたころ、普段接しないようなお客様方に遭遇しました。
警察署の方々と署員向けのセミナー講師です。
セミナー講師への接待というかおもてなし兼親睦会ってところでしょうか。打ち上げのようでした。
平和なスナックはちょうど良かったのでしょう。

しかし……。

部長だかなんだか知りませんが、小太りで偉そうなおっさんが私の隣に座りました。
……近い。
「ママ! 体操服を着た子がこんな所におる! ちょっと取り調べしてよかろうか? ハッハッハ~!」
そう。この日私の衣装は学生の夏体操服みたいなカットソーとタイトスカートでした。そして頭は山猿です。
「ちょっとこっちおいで!」
ママに呼ばれていくと「裏にチャイナドレスあるから着替えておいで!」とのこと。

さて。
チャイナドレスに着替えてちょっとはスナックの姉ちゃんらしくなったものの、小太り部長(←ここではそう呼ぶことにします)はまだ絡んできます。
ご一行様お揃いの様子になったので、お酒などの用意をしつつ小太り部長から逃げました。
乾杯のあと、楽しくご歓談&カラオケ。皆さま賑やかに楽しんでいらっしゃいます。

……と。
小太り部長の横に座るように促されました。
い、嫌だな……。
平和なスナックとはいえ客商売なので座りました。
しかし案の定、「取り調べをす~る!」と。懲りないおっさんです。
太ももに手を置いてきました。
は!?
もそもそ動いとる!? まずい!!
「た、逮捕するぞ~!!」
とっさに叫んでおっさんの手をガシッと掴んで固定しました。必死です。
手をガシッと掴みながら思いました。
(ああっ。頭のいい女の人なら気の利いたセリフで相手を喜ばせつつ自分も安全でいられるんだろうな……)
ああ私っていろいろと無能だわ!
などと凹む暇もなく、小太り部長はチューをする仕草で迫ってきます。
頬へではありません。唇です。
(ウソだろオイ……)
小太り部長のチューを避けようと頭を動かすと、後頭部を壁で打ってしまいました。
~寺の鐘~
痛ぇ……

すると。

「アウトォォッ~~~~~~!!!!!!!!!!」

気持ちよくカラオケで歌い踊っていた仮面ライダーみたいな警官が叫びながらやって来ました。
アウト?……アウトってなんだ!?

小太り部長:「お~!〇〇(←仮面ライダーの名前)、この子を今から取り調べをしてよかろうか!?」
仮面ライダー:「ダメです」
小太り部長:「でもこの子は*lkdjs;lj@*:**。%$#k@k@pk(←ろれつが回ってない)」
仮面ライダー:「ダメです」

なんなんだこの問答は……
そうこうしているうちに歌っていた他の方々もクルっと振り向き、

「アウトォォォ~~~~~!!!!!」

アウトの大合唱です。
何が起こったのかよくわかりませんでしたが、ともあれ私は小太り部長から解放されたようでした。

私:「あ、あの~……さっきのアウト~! って何だったんですか?」
仮面ライダー:「最近、ウチの部署でセクハラ募金してるんですよ」
私:「セクハラ募金!?」
仮面ライダー:「誰かがセクハラな言動をすると、それを目撃した人が『アウト!』と言うんです。言われた人は募金をしないといけないんです」

なんじゃそりゃ……
例の小太り部長はワイワイと他の方々に募金を迫られていました。

宴がお開きになり、セミナー講師のお爺さん先生に挨拶をしました。
「これに懲りずまた来てくださいね」と皆が言うとお爺さん先生は苦笑いをしていました。
そりゃ苦笑いもしますわね……

数日後、TVを見ていたら。
警察や教職員の不祥事が多発していることを受け、対策会議が開かれたというニュースが流れていました。
会議室の様子映像。
「ふ~ん」と見ていたら、画面には憮然とした表情で映っているおっさんが。
あら?
小太り部長!?

(波濤)(波濤)(波濤)(波濤)アウトォォォ~!!(波濤)(波濤)(波濤)(波濤)

やれやれですわ。

後日、地酒屋の板前衆に報告。
「(セクハラ募金のくだりを聞いて)バカだ……バカだ……」と笑う板前兄ちゃんがいる一方で、

「もう……男なんて犬と一緒なんだから!!  ちゃんとしつけなきゃ! 手が伸びてきても『ダ~メ! 手はここじゃないでしょ! ここ!!』って言ってどかすんだよ!!」と呆れ気味にアドバイスをする板前兄ちゃんもいました。
この板前兄ちゃんの母君はスナックのママ。肝が据わっていてカッコ良く、サングラスが似合います。
そんな母を持つ兄ちゃんからしてみたら、私のモタモタ対応は歯がゆかったでしょうよ。

さてさて!(やっと本題)
このスナックで思い出の食べ物と言えばキュウリの漬物です。
「ニンニクと塩と酒と水を適当に入れて漬けるだけ。簡単よ~」とママが教えてくれました。
漬物を自分で作る習慣がなかったので新鮮な気持ちで作り始めました。
ボリボリ。
十分それで美味しいのですが、今回はママから教わった漬け方をベースに梅味に仕上げてみました。

では参りましょう。
キュウリの梅味漬け

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自意識和代

人の好意をなかなか信じられず、褒め言葉はとりあえず疑ってかかる。逆にけなし言葉をかけられて「なんて率直なんだ!」と心を開くことがある。社交辞令より愛あるdis。愛がなければただのdis。凹んじゃうよ! ラブリーかつ面倒なアラフォーかまってちゃんである。